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「そりゃ無理くね?この試合だけは唯一片方が有利の状況じゃん」



氷は熱に弱いから…電気でスパークさせたり、IHよろしくのヒーター的なアレで溶かされるし。



電子レンジの原理でも可。



「…まあでもエルーとじゃなくて良かったよね」


「エルーとだったら逆に氷魔術は使わないんじゃない?」


「でもだったら土魔術だろ?勝てるかどうか微妙っぽくね?」



俺の返しにショコラが腕を組んでそう言うとマキナにツッコまれ、更にエリアもその発言にツッコむ。



「…ハルトは剣も使えるんだ、勝てたとしても容易くは無いだろうな」


「俺らの内輪モメ的な戦いで容易く勝てるワケないだろ」



エルーが恰好つけたような事を言うので今度は俺がツッコんだ。



…曲がりなりにも俺らは全員化物の括りに入っていて、俺以外は強さっつーかレベル的にはトントンだからな…



不意うちでもない限り簡単には勝てねぇって。



「…ソレにしても…出てこないね」


「だね、詠唱でもしてるんじゃない?」



5分経っても氷の檻がそのままなのでマキナが心配そうに呟くとショコラはさして心配してなさそうに返す。



「いや、ハルトの顔を見る限りソレは無いだろ」


「まああの檻の中でも更に攻撃してるんだろうな…じゃないと直ぐに溶かされてるハズ…」


「つー事は…今はリザリーが劣勢なのか…珍しい」



エルーはハルトを見ながら状況を予想し、エリアがソレに乗っかり…



俺はどうでも良さげに眠そうにあくびをしながら一応会話に参加する。



「…このままいけば、もしかしたらリザリーが負ける?」


「あのリザリーがこのままいくか?」


「…っと…招かれざる客のお出ましだ…」



ショコラの意外そうな呟きにエリアが疑問系で返すと、俺の直勘が反応。



どうやらこの洞窟の奥の方にいたんであろう魔獣がやってきた。



…因みにあえて表現しなかっただけで、ショコラとエルーが戦ってる時にも居たよ?



ただアイツらの戦いが激し過ぎてとばっちりを避けるためか俺らの所にも来なかったってだけで。



…つーか魔物や魔獣は戦いの巻き添えにならないように逆に逃げてたし。



俺とマキナの時は運良く?居なかったけど。



「「「「…招かれざる客?」」」」



俺の呟きに双子以外の4人が、一斉に、同じタイミングで、不思議そうに、聞いてくる。



「魔獣だよ…エルー、負け組の俺とお前で排除すんぞ」


「分かった、コイツらにはまだ次があるしな」



よっこいしょ…と俺がヤンキー座りのような体勢から立ち上がりながら強制的に巻き込んだのに、エルーは快く了承した。



「んじゃま…俺は入口の方から来るヤツを倒すから奥の方は頼んだ」


「おう…ハルト!少し通るから魔術使うなよ!」



役割分担って事で洞窟の入口に向かって歩き出すとエルーがハルトに注意しながら小走りで移動する。



「ギシギシギシ…キキ、貴様は…!」


「んお?悪魔?なんでこんな所に?」



魔獣が来ると思って入口の方に移動すると…



来たのは魔獣とソレを従えてる悪魔だった。



「キキ、貴様…その色…!領域を犯しモノ…!」



…どうやら悪魔は悪魔でも、かなり珍しい天使から堕ちた堕天悪魔らしい。



有名どころで言うならば…



ルシファー、ベリエル、アザゼル、アスモデウス…あたりかな。



ルシファーはその傲慢さゆえに神に逆らい堕天し…



ベリアルは神に敵意を持ち反逆して堕天し…



アザゼルは自由を謳い神に反逆して堕天し…



アスモデウスは冥界の七大魔王である色欲のリリスの誘惑に負けて堕天した、とかなんとか。



…名前に『ル』が付くヤツはロクでもないのばっかりだな。



アスモデウスは冥界に出向いた時にリリスと会って、お互い性質が似てたから興味を惹かれて堕天したワケだけど。



まさか天使が魔王に惹かれるなんて…どこのロミオとジュリエットだよ。

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