第16期
1
…あ、そっか。
そういやまだカオスなファッションのままだっけ?
「…コレでどうだ?」
仮面やお面、帽子やマスクを外してから子供達に聞く。
「「「…だれ?」」」
変装を解いたにも関わらず子供達全員が不思議そうな顔をする。
「あれ?父さんだと思ったのに…もしかしてお客さん?」
「いやいや、お前さっきまで分かってたじゃん」
「え?やっぱり父さんなの?」
……あ、忘れてた…万が一のためにって軽く顔の方も変えてたんだった。
「…当たり前だろ、この程度の変装も見破れんのか?お前もまだまだだな」
俺は自分の失敗を悟られないようにライナの未熟さを指摘する。
「変装?なんでまた…」
ため息を吐きながら言うとキリが不思議そうに聞いてきた。
「なんでって…考えてもみろよ、こいつらと一緒に暮らしてるっていうテイなんだぜ?」
「あー…そういう事ね」
メイド達を顎で示すとライナだけが理解したように呟く。
「???どういう事?なんでお姉ちゃん達が関係するの?」
「「「…意味が分からない」」」
キリも他の子供達も不思議そうな顔をしてライナを見る。
「こんな美人達と住んでるのが俺みたいなモブ顔だったらみんなから怨まれるだろ?」
「あ…そういう事かー…嫉妬の対象になるから変装してるんだ」
「「「「あー…」」」」
「「「???」」」
どうやら下の子達を除いた子供達はキリの説明で理解出来たらしい。
…どうせ下の子達は会話の内容が全く理解出来てないと思うからスルーでいいか。
とりあえず変装っつーか薄化粧?的なのを落として来るかな。
洗面所に向かおうと歩き出すと何故かメイドの一人が後ろからついて来た。
「…なに?」
「変装を解くのをお手伝いしようかと思いまして」
少し歩いて振り替えらずに聞くとおそらく笑顔で言ったんであろう言葉が返ってくる。
「うっすい化粧を落としてツケマ取るだけだからいいよ、化粧落とすのは慣れてるし」
「そうですか?では先にお戻りしてます」
…本当に化粧落としを手伝うつもりで付いて来てたのかどうか分からないが、とりあえず俺の返事を聞いてメイドは踵を返して戻って行った。
そして洗面所で変装を解いてから食堂へと戻る。
「…マジかよ…」
食堂に戻ってびっくり。
夕食が始まってまだそんなに時間は経ってないハズなのに、大皿に盛られていた料理が残り少なくなっているではないか。
…こりゃマジで俺らの分あるかどうか怪しいな。
「あ、父さんが戻ってきた」
子供達みんなが物凄い勢いで炒飯を掻き込む中、ご飯粒を頬に付けたライナが俺に気づく。
「…?ホントだ…あ!今日の夕飯おとーさんが作ったって聞いたけどホント!?」
キリは炒飯やら回鍋肉やらを口に掻き込んでもぐもぐしたと思えば卵スープで流し込んで飲み込むと、手を合わせて箸を置き近づいて来た。
「おう、美味かったか?」
「もう最っ高!こんなに美味しいのって祝いの時に作ってくれるお姉ちゃん達の料理以来だよ!」
太ったらどうするの?ってかこんなに料理上手なら毎日作ってよ!と興奮した様子でまくし立ててくる。
「お前らは食べた分以上に動くんだから太らんだろ…つーか俺が毎日作ったらお前らの料理技術が上がらんだろうが」
自立しても生きていけるようにワザと子供達に自分でやらしてんだよ、多分。
美味いモンが食いたいなら料理の技術を上げろよ、って話になるからね?
俺自身は魔物になる前から味オンチに近かったからなんでも美味しく感じるけどな。
蛇も蛙も鼠も猫も食えるし。
肉のある動物って火を通せば意外と美味しいぜ?
まあ普通の人は先入観が邪魔をして美味しいと思わないだろうが。
固定観念って味覚や嗅覚にも影響を及ぼす不思議。
やっぱり思い込みってのは良しも悪しきも身体に響いてくるもんなんだねぇ…
俺みたいに食べれる物はなんでも美味い!って固定観念を持ってればクソ不味い物以外は美味しく食べれると思うよ。
とは言えいくら俺でもクソ不味い物は食べれん。
例えば…洗剤で洗って炊いた白米、カレー粉と間違えて黒糖を入れられた煮込み物、お茶パックで出汁?を取り砂糖と塩を間違えた味噌汁…etc
特に黒糖煮込みや出汁パックを間違えた砂糖入り味噌汁とかはヤバい。
アレは罰ゲームか!って叫びたくなるほどクソ不味かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます