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「…おし、完璧」



外が完全に暗くなった頃にちょうど夕飯が出来上がる。



今回の夕飯のメニュー。



『ドラゴンの熟成肉を使ったパラパラ炒飯』


『ドラゴンの熟成肉をふんだんに使った臭いが気にならない餃子』


『ドラゴンの燻製肉を使った回鍋肉』


『黄金比に近いスペシャルなオリジナルソースを絡めたエビチリ』

(下の子達用に辛味を抑え甘味を出した甘口味)


『中華風卵スープ』



なんかメイド達がドラゴンの肉を半分ほど熟成させてたらしく…



今回使って良いと言われたのでありがたく使わせてもらった。



なんでも保存用の燻製に50kg、熟成用に50kg取って置いたんだとか。



いやはや…あんな最高級の肉を俺が使って作った料理を食えるなんて、子供達には贅沢過ぎるよなぁ…



あ、中華風のスープは野菜から取った出汁+粉末調味料を足した物ね。



一応全部量多めで25人前ほど作ったが…足りるかどうか心配だ。



まあ最悪全部食べられたんなら俺とメイドの分は別で作ればいっか。



「お持ちしてもよろしいですか?」


「ああ、スープの鍋は熱いから気をつけろよ」



メイド達がカートを押しながら厨房に入って来て、確認すると料理の乗った大皿を乗せて運ぶ。



「お片付けの方は私共の方で致しますので…」


「自分で使ったんだから自分で片付けるよ、それより子供達の面倒見てきてくれる?足りなかったら俺らの分を作らないといけないし」



メイド長?にそう告げると頭を下げてしぶしぶ厨房から出て行く。



「うへぇ…油落とすの面倒くせえ…」



カッコつけずに手伝ってもらえば良かった…と後悔しつつ鍋やフライパンにお湯を溜める。



「やあやあ、夕飯はどうかね?君達」



30分かけて調理に使った物を綺麗に洗って片付け、変なキャラで食堂らしき部屋に入った。



「「「「…だれ?」」」」


「お姉ちゃんの知り合い?」


「ライナ兄の知り合いじゃないの?」



子供達みんなが俺に知らない人を見るような目を向けてコソコソ話し合う。



おう、少し会わない間にみんな俺の事を忘れてやがる。



なんだろうこの懐かしい感覚…



「いや、俺にあんな知り合いは………あっ!」



そんな中、真ん中の男の子から話を振られて少し考えたライナが声を上げた。



「?やっぱりライナの知り合いなの?」


「あれ、父さんじゃない?」


「「「「「ええっ!!?」」」」」



キリの質問に対するライナの答えを聞いて今度は下の子を除く子供達が驚いたように声を上げる。



「「「??おとーさんってあんなだっけ?」」」


「「「あ、でも良く見たら…」」」


「え、あれおとーさんなの?お姉ちゃん」


「はい、みんなのお父さんですよ?」



メイドのさも当然という感じの返答に子供達みんなが不思議そうに俺を見た。

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