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64式小銃に86式小銃ねぇ…
一応こんなマシンガンだかアサルトライフルだかサブマシンガンだか良く分からん物にも名称は付いてるんだな。
…つーか、こんなモン4丁も持ってたらヤバくね?
ただでさえ刀も差してるのに…一般人に見られたら即通報されかねんぞ。
幸いな事に今は人通りが全く無いけど。
「千代田区かぁ…ココがどこか分からんのにどうやって移動しようか」
こんな物騒なモンを持ってんだから地下鉄とかバスとかの公共機関は無理だし…
影移動で移動しようにも時間帯が悪過ぎる。
せめて夜ならどこでも移動し放題なんだが、こんな太陽もまだ真上にならない昼間じゃ影も少ない。
…よし、式部の野郎に…いや…式使のお姉さんを頼ろう。
あのド変態とは出来るだけ関わりたくねぇから。
そうと決まれば早速電話だ。
俺はポケットから小型無線機を取り出して式使のお姉さんに電話をかけた。
「…はい、もしもしぃ?」
「あー、式使のお姉さん?あたしゃだけど…」
「?誰ですのぉ?」
面識があるならどんな人にも通じると思ってた万能一人称を名乗ったのに…
まさかの通じないっていう。
こんな事は初めてだぜ。
「あのド変態の知り合いって言えば分かる?」
「……ああ!遠間のお兄さん」
相変わらずというかなんというか…おっとりしたような、のんびりした喋り方だ。
「赤は多分まだ寝てはりますがぁ…」
「いや、式部に用じゃ…」
と、ココで俺の捻くれた頭がちょっとした事を閃く。
彼氏居る女性と二人きりになって、もしもフラグとか立ったらヤバいんじゃないか?っつー事を。
「…あー…やっぱり式部を叩き起こしてくれる?今からそっち行く、って」
下手したら…とか最悪の事態を避けるために仕方なくド変態に変更する。
「分かりましたぁ…また何かあったんですのぉ?」
「ん~…何かあったのは俺じゃなくて藍架の方…」
「…藍架はん?…もしかして彼女に何があったんですのぉ?」
藍架の名前を出した瞬間に電話越しの眠そうな雰囲気が一変して真剣な声に変わった。
「マシンガン…自動小銃ってぇの?ソレで武装したヤクザに囲まれてた」
今はもう大丈夫だと思うけど…と式使のお姉さんが何か言う前に付け足す。
「そうですかぁ…それは一安心ですなぁ…」
何故か式使のお姉さんはホッとしたように安堵のため息を吐く。
「…?もしかして藍架と面識があるの?」
「え?」
不思議そうに聞いたら不思議そうに返される。
…あれ?仲良いと思ったけど違うの?
「もしかして…遠間のお兄さん、今まで知らへんかったんですのぉ?」
「…何を?」
「あて…私と藍架ちゃんは昔からの友達だったんですよぉ?」
「マジでぇ!?」
ここに来て今まで知らなかったまさかの重大な情報を知らされた。
「もうかれこれ十数年ほど立ちますなぁ…」
「…つー事はなに?藍架が忍者になってから、ずっと?」
「はぁ、アレから今に至るまでほんに仲良ぉさせてもらって…っと、失礼」
京言葉が出たからか電話越しからでも口を手で押さえてると分かるような恥ずかしげな言い方をする。
…マジかよ、衝撃の事実過ぎるだろ。
って事はアレか?式使のお姉さんが俺を知ってたのは噂とかじゃなくて藍架から話で聞いてたからか?
……わお、良く考えたら俺ら姉妹って式神一族に関わり過ぎじゃね?
あ、ココでの姉妹は藍架と愛梨の事ね。
俺は式部、藍架は式使、愛梨は式卜。
もしあと一人兄か弟が居たらきっと式津の野郎と関わってたんだろうなぁ。
…まあ一番最初に式神一族に関わったのは俺だけどさ。
でもまさか姉と妹も式神一族と関わるとは夢にも思わなかったわ。
しかも俺と藍架は奴らとの付き合いが長い方だし。
「?どうかしはっ…されたんですのぉ?」
顔を軽く引きつらせながら考えに耽ってると急に黙ったのを不思議に思ったのか式使のお姉さんが聞いてきた。
「いや、俺や藍架…愛梨が式部式使式卜の当主達と関わってるって良く考えたら凄いな…と」
「…ああ、そう言われて考えてみると…そうどすなぁ」
「ま、コレも運命の巡り合わせっつー事か」
こんなんなるとか、元々決まってなけりゃあり得ないと思うんだが…
だって確率にしたらおそらく天文学的数字だぜ?
…っとぉ!ヤバいヤバい、話がズレにズレて世間話に脱線しちまってる!
早いとこ問題を片付けないと今日中に別荘に帰れねぇかも。
「運命の巡り合わせ…ほほ、遠間のお兄さんは意外とロマンチストでおまんなぁ」
…おまんなぁ?なんだそれ?…ロマンチストでおまんなぁ…?
ですね。とかございますね。とかいう意味か?…多分ニュアンス的にそうなんだろう。
…にしても生でそんな言葉は初めて聞いたな。
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