35

「なに?…まあいいか、今は警察側の女を追ってる状況だ…10人程で囲んでるから雇われの出番はない」


「女…それってあの美人な?」


「…面識はあるのか?そうだ」


「あっそ、ありがと」



お礼と同時に刀を抜いて首を斬り飛ばす。



…10名程に囲まれてるか…とりあえず外側から切り崩して行くとしますかねぇ。



キャー!!という周りの一般人の悲鳴を無視しつつ刀を納め首無しのお兄さんからマシンガンを奪う。



「もしもし藍架?今は逃げ回ってる最中?」



まさに忍者のごとく屋根を飛び電柱を登り銃を持ってるお兄さん達を探しながら電話した。



「あ、うん…なんで分かるの?」



お、藍架発見…おう、走ってる先に黒服のお兄さん達が。



「今藍架の近くに着いたから」



そう告げて電柱から近くの家の屋根に飛び移りお兄さん達の所に走る。



「はあ!?」



電話越しに驚く藍架を無視してマシンガンを構えて狙いを定め…引き金を引く。



閑静な住宅街にパパパ!!と銃声が響き三人の黒服スーツのお兄さん達が倒れた。



…ふーむ、昔取った杵柄とはいえちゃんと命中して良かった良かった…っと。



まだ動いていた二人のお兄さんの頭にトドメを刺して三丁のマシンガンを肩に掛ける。



「っ!今の音は!?」


「あー、そのまま音のした方に進めば居るからさ」


「~~!お前の仕業か!」


「助けてやったんだから感謝しろよ」



言うや否や目の前に藍架が現れたので電話を切ってポケットにしまう。



「おー、藍架…久しぶりだなぁ」


「…程人?」



マシンガンを持ってる手を上げて挨拶するとカオスなファッションの俺を見て怪訝そうに質問した。



「逆に俺以外だったらどうすんの?」


「そのままスルーして去るに決まってるでしょ」



質問で返したら呆れたように言われる。



「まあこんな和洋折衷なカオスファッションじゃあしゃーねーか」



仮面にマスクにお面に帽子だもんな…俺だってこんな格好してる奴に進んで関わろうとしないし。



「んで、俺は何をすればいいワケ?」



いたぞ!と声を上げ藍架の後ろから走ってくる黒服のお兄さんを撃って何度目かの質問をした。



「…なんでこんな距離が空いてるのに正確に頭を撃ち抜けるの?」


「色んな経験が活きてるんじゃね?」



距離が空いてると言ってもせいぜい150mほどしか離れてないが。



「…ツッコミ所満載だけど、まあいいか…とりあえずあんたに頼みたい事は一つだけ」



今私達と敵対している組の大元を潰して欲しいの、とポケットから写真を取り出す。



「…梅崎組…?」



写真に写っている木の大きな看板にはデカデカと縦文字で『日本最大の梅崎組』と書いてある。



…今の世の中でここまで主張するヤクザも珍しいんじゃなかろうか。



「本家の場所は千代田区にあるらしいけど…」


「ココを潰せばいいのか?」


「とりあえずは」



とりあえずは、って…じゃあ最初に本丸を潰して後は残党狩り的な感じでやるんかね。



「んじゃ…はいコレ、使い方は分かるだろ?」



本家に乗り込む前に藍架にさっき奪ったマシンガンを護身用として一丁差し出す。



…いやまあマシンガンっつーかアサルトライフルとか、サブマシンガン的なアレだと思うが…



でも普通に考えたら重機関銃も軽機関銃も突撃銃も短機関銃も変わらんか。



そんなんマニアとか分かる人にしか分からんだろ。



「あ、コレ…64式小銃だ…懐かしい」


「64式?」


「うん、まだ刀を使い熟せてない時にお世話になったマシンガン…程人が持ってるソレは89式小銃でしょ?」



…69式?89式?なんだそれ?この銃の名前?



「ごめん、ミリオタじゃないから名前なんて分からねぇ」


「…私だってミリオタじゃないけど」


「…まあ64でも89でもどうでもいいよ、どうせ直ぐ忘れちまうし…じゃあな」



頭が半分無いお兄さんからマシンガンを奪って藍架に手を振り目当ての場所に移動する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る