34
「罠ではないし、今回に限ってあんたを退治するつもりはないから」
「…今回に限ってかよ」
「当たり前でしょ、私達忍者は妖怪を滅するために存在してるんだから」
「さいですか…んで?用件は?」
俺も昔は忍者になるための修行をさせられたし藍架の…っつーか忍者のその融通のきかなさは理解出来るワケで、とりあえず本題に入った。
「今、ちょっとマズイ事になってて…今どこに居るの?」
「マズイ事?」
「ん、ヤクザを取り締まってる人達がマズっちゃって…ソレで助勢に来たんだけど、まさか殆どの組員達がマシンガンで武装してるとは思わなかった…」
予想外の事に私もマズっちゃった、みたいな雰囲気を出しながら気まずそうに言う。
「お前らならマシンガンぐらいどうって事ないんじゃねぇの?」
「一対一ならね、流石に15人は無理でしょ」
多少粘れても結局最後は蜂の巣にされるし…と悩ましげなエロい息遣いを零す。
いや、藍架ぐらいの容姿なら殺されないと思うけど…せいぜい撃たれたとしても脚だけだと思うよ。
俺だったら絶対夜の慰み者としてお持ち帰りするって。
「じゃあタイマンに持ち込めば良くね?他の忍者呼べば?」
「今出来る限り総動員してるけど、武装してる組員の数が300名近く居るのよ?あまり長引かせると私達の家族にも…下手したら愛梨の学校とかに行きそうだし」
「なるほど、だから死ににくい俺に白羽の矢が立ったっつーワケね」
確かに銃で何十発撃たれても死なねぇし…
まあその前に俺の今着てる服を貫通させる事すら無理だろうから一回も死なねぇか。
ライフルでも貫通弾でも、普通の徹甲弾でも破れないだろう。
流石に戦車用の徹甲弾とか砲弾だとこの服じゃ耐えられないかもな。
戦車に対抗出来るのは武装服のパーカーぐらいだしねぇ。
「どれくらいで来れる?あまり長い時間は待てない…」
藍架が最後まで言おうとしたら、こっちだ!とかここらへんを探せ!とかの怒号が電話越しに聞こえた気がする。
「…ヤバ、囲まれたかも…」
「…あー…実はちょうど船で中華合衆国に向かってる最中だったから…」
比較的早く着くかも、と嘘を吐いて電話を切った。
…やべぇな、今は血を操る能力を行使中だ…
とりあえず太陽光を遮るような最低限の変装でもしてから向かうか。
急いで木陰に移動して刀を抜き指を滑らせて切り血を舐める。
そしてある場所に影移動して堅い素材で作られた仮面を着け、日本製の仮面を斜めに乗せて手袋を填めた。
あっと…一応マスクもして…帽子もB系ファッションで…
5分ほど試行錯誤した結果…
微妙な纏まりのないカオスなファッションが出来上がる。
顔の半分から上は堅い仮面
顔の半分から下は白いマスク
頭の右半分は日本製の狐の仮面…というかお面?
頭の左半分は斜め帽子
ものすごい絵面になってしまったがここまでカオスならば逆に周りの人はそういうファッションだと見てくれるかも。
つーワケで、そのまま藍架の近くの人気の全く無い路地に影移動した。
「あっちだ!逃がすな!」
藍架の所へ行こうと路地を出ると直ぐに黒いスーツ姿でマシンガンっつーかアサルトライフル?をぶら下げ、叫ぶお兄さんを目撃。
「あー、もしもし?」
「なんだ!?…うおっ!?」
後ろから肩を叩いて話しかけると怒ったように振り返り…
俺のカオスなファッションを見て驚く。
「今、誰か追い掛けてんの?」
「て、テメェには関係ない話だ!失せろ!」
お兄さんは関わってはいけない奴と関わったような反応をして背を向ける。
「いやいや、手伝うよう言われてんだから関係なくはないっしょ」
前側を塞ぐように移動して刀に手をかけて注目させた。
「なに…?雇われか?そんな話は聞いてないが…」
「いやいや、聞いてないとかあり得なくね?詳しい状況は現場の奴に聞けって追い出されたのに…」
俺は嘘八百を並べて藍架を取り巻く状況の情報を聞き出そうとする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます