33
「…今回は長くなりそうですね」
例のアレが終わり、搾り取られそうになった…げふん!も終わった後に現メイド長がハンカチで口を拭きながら切り出す。
「ああ、多分こんな長期なのは人生初、かもな」
今までは長くても二週間程度で終わる事ばっかだったし…
そもそも養成学校時代は長期の仕事なんて言わずもがな。
で、魔王軍に入ってからもあの侵略ぐらいだ。
「私たちにできる事があればなんなりとお申し付け下さい」
「分かってるよ…ま、そんな面倒な事にならない事を祈っておいてくれ」
「「「「かしこまりました」」」」
俺が笑いながらそう言うとメイド達は笑顔で頭を下げる。
「っと…そろそろあいつらが起きてくる時間か…?悪かったな、こんな朝早くに」
「「「いえ、気にしておりませんよ」」」
「そう言ってくれると助かるわ~…んじゃ、コレからちょっくらマキナ達の所に行ってくる」
「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」
再度頭を下げたメイド達に見送られつつ…研究所のトイレへと影移動した。
「あれ?村さん?こんな朝早くに何の用?」
廊下を歩いてると数少ない男性研究員と遭遇。
「リザリー達に用があってな」
「ああ…クルシェイル所長とサナンカ副所長なら自室で寝てるはず…」
「リザリーは?」
「クレイン所長は帰宅したと…思う…多分…」
男性研究員は顎に手を当てながら思い出すようにして知らせてくれる。
…帰宅って事は研究で忙しいワケじゃないのか。
「ありがと」
「いえいえ…あっ、そういえば…」
礼を言って横を通り過ぎようとしたら男性研究員が何かを言いかけた。
が、無視してそのままマキナが寝てるであろう部屋に向かう。
男の話なんて聞くだけ時間の無駄だろ。
「おーいマキナー…入るぞー?」
一応ドアをノックしてから数秒待ちドアを開ける。
「おーい…おはよう…」
「うぅん…」
ベッドで寝てるマキナの頬を無名で突いて起こそうとしたら…
無名を掴まれてそのまま引っ張られた。
身体ごと引っ張られる前に手を離すとマキナに無名を奪われるっていう。
「んん…」
マキナはそのまま無名を抱き抱えて寝返りをうつように転がる。
…手で揺すったらまた前みたいに引き込まれる所だったぜ…無名、ありがとう!
「んっ…ん…ふぅん…んっ…!」
片手で無名に合掌のようにすると、心なしかマキナの息が荒くなったような…
…うわっ!コイツ…俺の無名でシてやがる!
モゾモゾと動いてたので布団を捲ってみると、なんと!自家発電?をしていた。
どんだけ欲求不満だったのか知らんが、とりあえず起こさないと俺の理性がヤバい!
「おーい、おはよー…朝?だよー」
「んっ…ん~…?あ…さ…?」
軽く肩を揺すると寝ぼけたように俺を見る。
「………あ、ていとくん…だ…」
マキナは起き上がると眠そうに目を擦って指差す。
「ちょっと話があってな、エルー起こしてくるから着替えといて」
「ん…分かった…あれ…?」
ベッドから下りたマキナに手を差し出すと不思議そうな顔をして無名を俺に渡した。
そして首を傾げてるマキナを放置し一旦エルーの下へ。
「すー…ふー…すー…」
エルーが寝てるベッドの前に立ち無名を鞘ごと上段に構えて、静かに深呼吸する。
「せいっ!」
「うおおっ!?」
目を瞑って無名を振り下ろすとボスン、ドスン!という音がした。
おそらく…ボスン、は無名がベッドに当たった音でドスン!はエルーが直前で避けた時に床に落ちた音だろう。
俺の隠しもしなかった僅かな殺気を感じとりやがったか…
「チッ…おはよう」
「な、なにが…!…なんだお前か、おはよう…?」
素早く臨戦体勢を取ったエルーに舌打ちして挨拶すると俺を認識?して力に抜く。
「ちょいと話があるからマキナの部屋に来い」
「話?…分かった」
エルーは先に部屋を出ようとした俺の後をついてくるようにして一緒にマキナの部屋へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます