34

「おーいマキナー…入る…」

「入るぞ」



俺がドアをノックしようとしたらエルーがいきなりドアを開ける。



「「あ…」」


「え…?」



まあ…うん、なぜか着替え中だったワケで。



しかも俺らに背を向けた状態でパンツを履いてて…ブラをしてない。



「なっ…!?」



やっぱりな…と思いつつため息を吐き無言でエルーを蹴飛ばして部屋の中に入れ、ドアを閉めた。



そしてドアが開かないように押さえ込む。



「~~!!~~!?」


「~~?」



なんか知らんが、ドンドン!とドアが叩かれた後に軽く悲鳴のような声が聞こえたような…



うん、自業自得だからしゃーねーべ?



普通はドアをノックしてから開けると思うんだが…



多分、主人公的なイベントを起こすヤツにそんな考えは無いんだろうよ。



「もういいかい?」



とりあえず静かになったのでドアをノックして聞いてみる。



「もういいよ」



かくれんぼのような返事が聞こえてガチャ…とドアが開く。



「…ええー…」



下着姿のマキナを見て俺はなんともいえない呟きを零した。



「セクシー?」



ノリノリで笑いながらポーズを取るが…なんて反応して良いか分からない。



「まあ、セクシーだけど…とりあえず身体が冷えるから服着ろ」


「えー…なんか今日はいつもと違わない?」



いつもなら目を泳がすのに…と呟いて部屋の中に戻るマキナの後をついて行くように部屋の中に入る。



中ではエルーが未だに腹を抱えて床に蹲りビクビクしていた。



…結構キツいのを腹に食らったのか…バカなやつ。



「リザリーは?」


「あ?ああ、あいつにはお前らから伝えてくれ」



どうせ大した事じゃねぇし…と前置きをして今からの仕事が長期になりそうな事を説明する。



おっと、当然古代兵器の事は伏せてだよ?



「ふーん…主人公の仲間に、ねぇ…」


「そ、なんか敵さんが面白い事でもしようとしてるんじゃねえの?」


「お前も大変だな…」



やっと復活したエルーが肩に手を置いて同情したように言う。



「お前…最近そんな事しか言ってないよな?」



使えない脇役みたいなポジションだろ、それ。



「まあ大体言いたい事は伝わったよ、今までみたいに頻繁には会えない…って事でしょ?」


「そうなるな、緊急時以外でも用があればたまに来るが」


「三日後まではまだ時間があるだろう?」


「色々と準備しなきゃならんから忙しいんだよ」



変装…は髪型と声を変えるだけで良いとしても、戦い方とかは変えんといけんし…



「あ、そうだ…マキナ、貸し3使うから今からちょっとある物を作ってくれないか?」


「?ある物…?」


「ああ、リザリーにも貸し3使うからソレを一緒に作ってくれって伝えといて」


「良いけど…何を作ればいいの?」



魔石とソレを加工した指輪と腕輪を作って欲しい…と頼んで俺は魔王城の自室に影移動した。



「…ええー……」



ベッドの下から這い出て目に入った光景につい呟きが漏れる。



「ん~……」



なぜか俺のベッドでエコー・アルバトロスが寝ていて、ドアの所で飛空部隊副隊長のワイバーンさんが身体を丸めて寝ていた。



あ、一応出世して部屋も無駄に広くなったよ?



広さ的には2LDKの壁をぶち抜いたぐらい?



…分かりにくくてゴメン。



まあワイバーンさんが軽く入るぐらいには広くなったかな?



…さておき、コレはどういう状況だ?



アルバトロスが俺のベッドで寝てるのは一歩譲ってまあ分かるとしよう。



だがワイバーンさんはなぜ俺の部屋に??



かなり優しい性格で何回か助けてもらった事があるけど、そこまで仲良くなかったと思うんだが…



俺が状況を把握しようと考えてると、何かを察したのか…ワイバーンさんが目を覚ます。



そしてバッチリ俺と目が合うっていう。




……


………



…お互いに目が合ったまま少しの間沈黙の時間が流れワイバーンさんはそのまま目を瞑る。



ええー…と思いながらとりあえずポーチから小箱を取り出し、タンスに掛けてある服や畳んで置いていたトランクスを中にしまう。



結局何がなんだか全然状況を把握出来ないまま目的を済まして別の場所に影移動した。

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