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…昔の技術は恐ろしいもんだ。



抗魔塔とか俺が研究しようとした魔力を無くす方法そのものじゃねーか。



つーか身体のみ魔物に変える薬って凄いな!



今の俺みたいな状態になるって事だろ?



流石は調停者…どういう技術があったからこういうもんを造らせれたのかね…



あ、因みに前の4つは精霊王に渡された薄い本に書かれてた事で確証は無し。



…だから最後に『らしい』を付け足したワケなんだけど。



「…さて、じゃあ俺はそろそろ行くわ」


「待て、どこに潜入するのか分かってるのか?」


「は?」



調停者に背中を向けて歩き出そうとした時にそう聞かれて立ち止まる。



そういや潜入とか言ってたな、でも秘密結社の全容は把握してないんだっけ?



…あれ?じゃあどこに潜入すれば良い系?



「そういや監視なんだから潜入とか要らなくね?」



俺はたっぷり20秒ほど考えてそう聞いた。



「監視するにしても潜入してもらう」


「…どこに?まさかその秘密結社とやらか?」


「違う……そうだな…主人公の一行、とでも言えばいいか」


「…主人公の一行?なにそれ」



顎に手を当て考えながら言う調停者に俺は胡散臭いモノを見るような目を向ける。



「秘密結社が活動し、ナニカを起こす度にソレを解決して来たパーティだ」


「おお、まさに主人公の一行だな」


「余は毎回のように秘密結社とぶつかる一行を不思議に思い色々と調べてみると、意外な事が分かった」



まあ…うん、確かに毎回都合よく秘密結社とぶつかってるんなら不思議に思うわな。



「意外な事?」


「そのパーティを作り上げる核とも言える主人公の年齢が13~16歳で、なぜか才能や素質に恵まれている…と言うことだ」



…おう、正に主人公じゃん。



「299年前、195年前、70年前に至っては秘密結社から抜け出した少年や少女がその主人公に接触し、仲間になっている」


「おおう、まるでゲームのようなストーリーだな…って少年少女?主人公は男だけじゃねぇの?」



普通は主人公=男ってイメージなんだが。



「いや、二回ほど少女が主人公のような立ち位置に回っていた事がある」


「マジかよ…まあ主人公属性に性別は関係ねぇし」



…アレ?あれあれ?なんかこの流れってマズくね?



実は今回の主人公的な立ち位置は俺の娘でした、とか…なんかそう言った事になりそうな嫌な予感がするんだけども。



「なあ、もしかして…今回のその主人公的なやつって女の子だったりする?」


「いや…今年15になる少年だ」



…っしゃあ!嫌な予感が外れたぜ!



だがまだ油断は出来ない…!



もしかしたら旅の途中であっちから何かしら関わって来ないとも限らないし。



あの時のライナみたいに。



「で?どうやってその主人公君と知り合えば良いんだ?」


「方法は任せる…とにかくその主人公と一緒に居れば組織と接触し、古代兵器まで辿り着けるだろう」



いやいや、任せるって言われても…まあやるだけやってみっか。



「とりあえずやってみるさ、ソイツの名前は?」


「名はミルディ=ローン、三日後にギルドの試験を控えている」


「準備期間は三日か…一応俺が失敗した時の案も考えててくれよ」


「分かっている、では頼んだぞ」



かなり長期になるだろう仕事にため息を吐きつつ俺は別荘に影移動した。



「「「っ…!?……あら、お帰りなさいませ」」」



廊下を足音立てずに歩いてると三人のメイド達が、臨戦体勢で現れる。



そして侵入者が俺だと知るや否や笑顔になり頭を下げた。



「ただいま、今直ぐで悪いけど…集めてくれる?…コレから面倒な事が始まるんでね」



メイド達に他のメイドを招集させるようお願いしてから先に例の部屋に向かう。

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