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「持ってきたぞー」



精霊王から渡された小冊子を手に俺は調停者の所へと影移動で戻る。



一応説明しておくと…精霊王は特定の場所に留まらず、一定期間毎に聖域をうろついてるらしい。



だから直接精霊王の所へ影移動ってのはできないワケで。



え?精霊王とのくだり?いや、特に何も無かったからカットしたけど。



だって会うや否や薄い本(同人誌じゃない)を渡されて終わりだよ?



会話を書けば『何の用?』『コレを渡せ』だけ。



ツマラナイっしょ?書くまでもないじゃん?



つーワケで今に至る、と。



「うむ、ご苦労」


「コレ、なんなの?」



俺は調停者に薄い本(同人誌じゃない)を渡して指を差し聞いた。



「20世紀前に作られたとされる古代兵器の資料だ」


「20世紀前っつーと…2000年以前か?」



全然古代でもなんでも無いような気がするが…



作られたって事は昔の設計図でも見たんかな?



「いや、2000年前だ」


「…は?」


「余が生まれるよりも大分前だな」



……冗談だろ?え?じゃああの精霊王って20世紀前から存在してるって事?



「いやいや、一人称が戻ってるぞ…じゃなくて、そんな2000年前の兵器なんて調べてどうすんの?」



いくら昔の技術が並外れてたとしても2000年も原型を保ってるわけないだろ。



あー…でも何万年前の食器だの骨だの発掘されるしなぁ…



「念のためだ…それはそうと遠の字、お前は古代兵器をどれぐらい知っている?」



調停者はパラパラと薄い本を捲りながら俺に話を振った。



「いきなりどうした?」



いきなりの質問に俺は調停者の意図を確かめようと顔を見る。



なーんか嫌な予感がするんだが…



「いいから答えろ」


「へいよ、古代兵器ねぇ…旧時代の遺物の超凄ぇ版じゃねぇの?」



顔色を伺う?俺を睨むような目で見た後に強制してきたのでとりあえず答えた。



古代兵器なんて漫画や小説、ゲームにしたってロクなモンが無いから多分そんな感じじゃね?



世界を作り変えるだの、街一つ破壊出来るだの、森羅万象を操れるようになるだの…



大体は『おいおい、現代の技術じゃ無理だぞ…やっぱり古代人凄ぇ』的な感じになるじゃん?



って事は、やっぱり人間は進化と言う名の劣化が進んでるワケで…



そのせいで技術や文明も衰退していくワケで…



とりあえず古代人や旧時代の人達から今の現代人を見たらどうなんだろうな?



ププ…見ろよあいつら、今時手に持つ武器で魔物と戦ってやがるぜー…ってなんの?



「…その認識で間違ってはいない」


「何が言いたいんだよ」


「まあ聞け、我…いや余は総界戦争が起こる前に神や悪魔にも対抗出来る兵器を作らせた」



いまいち話について行けず睡魔が襲ってきた俺に調停者が語り始める。



「ソレが古代兵器になったってワケ?」


「当たらずも遠からず…余が作らせた兵器は三つだけだが、余が作らせる前に存在したとされる古代兵器がまだ4つあったのだ」


「…あーあー、大体読めてきたぞ」



その4つの古代兵器が万が一悪用された時のために詳細を知っておこうってワケね。



その方が後始末とかやりやすいし。



「でもさ、その4つの古代兵器の詳細とか知ってどうすんの?なんらかの組織が動いたら手にする前に潰せば良いじゃん」


「今まではそうしてきた…が、今回は少し対応を変えてみようと思ってな」



俺がそう言うと調停者は目を瞑って少し考えてからそう返した。

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