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…ソコで今までの事を色々と説明することおよそ二時間。



時計が無いからどれくらい経ったのかよく分からんが、あの世界の時間で多分二時間ぐらいだろう。



説明っつーか話の内容は…



魔物になった事

魔王軍に入った事

調停の使者になった事

異世界流しをさせられた事



んで今に至る事を適当に雑談的な?



とりあえずそんな感じで簡単に纏めた。



「ってなワケで、お前らと会わなかったのはタイミングが合わなかったんだろうよ」


「むー…!侵犯者の事は知ってたのにー!」


「まさかソレが創造主の事だったなんて…!」


「…盲点…!」


「侵犯者にもっと興味を持つべきだったな…!」



最後に締めでそう言うと4体とも何故か悔しそうな顔をする。



「だから、お前らに早い遅いも無いだろ」



どうせ運命で決められた事なら今みたいにいずれ会う事になるんだし。



ってか俺、その時にこいつらと会ってたら思い出せたかどうか怪しいけどな。



「私達はそうでも創造主とか人間にはそうじゃないじゃん!」


「気付いたらいつの間にか居なくなってるぐらいだしね」


「いやいや、だから今の俺は人間じゃないって…」



ニーナとユリの反論にため息を吐きながら返す。



「…でも、変わら…い…」


「ふむ、確かに創造主の色が黄緑になっただけで昔と何一つ変わってないな」


「ソレはまあ今は禁止された昔の技術ってやつ?」



精霊に冥妖召喚術とか説明しても無駄なので適当に濁す事に。



「…そう言えば創造主って最近まで魔力とか無かったんだよね…?」


「最近…まあ5、6年前までは」


「「「?」」」



ユリの突拍子も無い質問に他の三体は首を傾げた。



「思い過ごしかなぁ?今、ほんの微かだけど創造主から魔力を感じる…」


「「「え!?」」」



俺に近づいてスンスン…と匂いを嗅ぐと可愛く首を傾げながらそう告げる。



「良く分かったな…確かに今は少しだが魔力はあるぞ」



他の三体が驚いてる所を見るとユリは色々と能力的に秘めてるんだろう。



まあ貴族的な立ち位置だから高能力じゃなければ逆におかしいんだが。



「やっぱり!」


「「…全く気づかなかった…」」


「…同…く…」


「別にどうでも良くね?俺が魔力持ちになったからってどうなるワケでもないだろ」



凹んでる三体をフォローするようにして話題を打ち切った。



「ふふーん、私の方が創造主を良く見てるもん」


「「な…!」」


「別に魔力の有無を当てたからといって、創造主が言ったようにあまり関係無いと思うが…」



アニーとニーナに喧嘩を売るように胸を張ったユリを見てファイがため息を吐く。



「その通りよ!」「…ん…!」


「えー?ソレって負け惜しみって言うんだよー?」


「「…っ…!」」


「喧嘩すんなよ…っとそろそろ行くわ」



椅子を鳴らして立ち上がった二体を宥めつつ俺も椅子から立つ。



「精霊王の所へ、か…案内は必要か?」


「頼む」



流石気配りの出来る精霊であるファイの申し出をありがたく受ける。



「「じゃあ私も」」


「…早く…」


「「結局全員(でかよ)…」」



いち早く入り口に向かった三体を見て俺とファイの言葉とため息が重なった。



「まあいいや、とりあえず抱き着くなよ?歩き辛いし」


「「「えー…」」」


「俺はお前らのぬいぐるみじゃねぇんだよ」



不満そうな声を上げた三体を一蹴して先を歩いて行くファイについて行く。























































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