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さっき例えた通り…
人間はあくまで神や天使、精霊とか悪魔の家畜に過ぎない。
卵を産む鶏、牛乳が搾れる牛のごとく生かされてるだけだ。
一応社会的に育てられてるっつーのも間違いじゃないかもな。
そこらへんは悪魔とか神々が唯一利害の一致した所だし。
だって人間は良くも悪くも慣れるっつー面倒な特性を持ってるじゃん?
不幸な環境に慣れてしまえば、普通の人が不幸だと思う出来事を不幸だと思わなくなる。
逆に幸せな環境に慣れてしまえば、普通の人が幸せに思う出来事でも幸せだと思わなくなってしまう。
だから不幸な環境に慣れた人には幸せを、逆に幸せな環境に慣れた人には不幸を。
そうする事によって負の感情や善の感情をお互いに効率良く回収出来るってワケだ。
だから悪魔達も魔獣達もあまりやり過ぎないようにしてる。
いくら負の感情がエサとはいえ、やり過ぎると…さっき言ったみたい慣れてしまうからねぇ。
そこらへんのバランスも調停者達が管理してるんだが…
どこにも必ずルールを守らないバカは出てくるワケで。
ソレは神も天使も悪魔も魔獣も精霊も変わらない。
天界サイドは人を必要以上に甘やかそうとし、冥界サイドは人を必要以上に陥れようとする。
そんな事をして無意味だっつーのに。
そのせいで一番迷惑を被って面倒な事になるのは俺ら調停の使者だぜ?
今回の後始末だって………っと、ズレた。
俺が内心愚痴ってる間にもこの部屋には沈黙が流れている。
「まー、アレじゃね?神が使い魔にならないって分かっただけでも収穫ありだろ」
この空気を破るために俺がいつもの調子でそう切り出した。
「まあ確かに…」
「そもそも神を使い魔にする意味ってのが分からないしね」
まさかの話を切り出した本人が否定するっていう。
「…その世界では神よりも強い奴が存在するんじゃねぇの?だから力を合わせて倒そうって事で使い魔にするんじゃね?」
「神よりも強いって…そんな奴が存在するなら、くしゃみしただけで大陸が無くなるんじゃないか?」
俺が適当に返すとエルーがふざけてかぶせてくる。
「神以上の力だしね、それだけの力を抑えるって並大抵の事じゃないと思う」
「普通の動作をするだけで、まず周りの物は全て吹き飛ぶわね」
「…あのチート物の主人公って普段どうやって力を抑えんのかね?超人が常人の振りをするとその分動きが鈍ると言うが…」
例えば…普通の人の10倍の身体能力がある超人だと動きを1/10にしないといけないわけじゃん?
常人より身体能力が高ければ高いほど、その分抑えないといけないワケで…
俺?俺は調停者に会うまでは日中の間ずっと建物の中に引きこもってたぜ?
毎日必死に力を抑えて普通に動けるように努力してたし。
だって…
ドアノブ掴んだら握り潰して壊すわ
頑張って回したり上下したりしても蝶番が壊れるわ
コップ持とうとしたら割れるわ…
日常生活を送るのに支障きたしまくりで超大変だった。
異界流しの時はこの身体能力に心からマジで感謝したけど。
「あんたの場合はどうだったの?」
「そりゃ調停者と会うまではヤバかったぜ?」
たった今考えてた事をみんなに話す。
「「へ~、やっぱり大変なんだ…」」
「でも俺の場合はまだ恵まれてたんじゃねえかな?暗殺の為に一般人に成りすますとかで、色々と抑えるための技術に特化してた分…な」
まさかの技術がまさかの時に役立った…的な?
…コレも因果が関係してんのかね?
「お前の場合はやり方が分かってたからスムーズに出来たとしても、チート物は元一般人だろ?」
「ドラ○ンボールの主人公とかみたいに力を抑える術とか無いわよね?」
「まあアレはアレで修行を重ねて身に付けた強さだし…一般人と戦っても手加減とか出来んじゃね?」
力の入れ方を分かるんだから力の抜き方とかも分かってそう。
「つーか最近更に気になってきたんだけど…瞬間移動ってどうやって建物の中に入ってんだ?」
空間移動じゃないんだから壁とか壊しまくってるような気がするんだが。
「そこはほら…漫画のタブーだよ」
「瞬間的にドアや窓を開け閉めしたら間違いなく圧に耐え切れず壊れるな」
「…あ、でも良く考えたらあの主人公って星とか天国とかには瞬間移動してるけど、建物の中には瞬間移動してないんじゃない?」
…結局ズレにズレて、いつものごとく脱線に脱線を重ねた雑談に変わる。
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