24

「…ちょっと待って、ソレは本当に現実で起きた事なの?」


「地面や自然、建物を直すくだりまでは理解出来るが…」


「死んだ人間の器である肉体を復元させて、個人個人に魂を入れて行くって…」


「っていうか天使や悪魔にも調停の使者とか居たんだ…」



俺の説明を聞いて4人共頭に手を当てて考える。



「信じる信じないはお前らに任せるけど、めっちゃ大変だったんぞ」



寝るヒマも電話に出るヒマも無かったぐらいだし…と俺もため息を吐いた。



「という事はあの大陸は元に戻ったの?」


「まあな、つーかこの前イグニスの奴らを殲滅したじゃん?アレが無けりゃもっと楽に終わってたっていう」



今言った所で仕方ない話だが、一応因果的な何かはどこでどうなるか分からないっつー前例って事で。



「そんな事言われても…ねぇ?」


「うん、先の事なんて分からないしー?」


「ま、お前らも気をつけろよ?もしかしたらアレが関係する何かが起こるかもしれんぞ」



そう警告したものの…因果の云々は気をつけても無駄だがな。



「にしても、神がこの世界で暴れるとえらい大惨事になるわね」


「全くだな、もしあの時お前らを逃がして無かったら…今頃あの大陸で目を覚ましてたかもよ?」



あの時の俺グッジョブ!ナイス判断だったぜ!



「ねぇ、良く考えたらさ…小説とかで良く神を使い魔にしたりするじゃん?実際にこの世界で神を使い魔にしてる人とか居たらヤバくない?」



俺が内心自画自賛しまくってると、ショコラがいきなり変な話をする。



「…アレは小説で、二次元だからこそ…だろ?そもそも神を使い魔になんて出来るのか?」



みんなでショコラの話について考えてるとエルーがそう返した。



「そこらへんどうなの?アンタなら知ってそうなもんだけど…」


「いやいや、使い魔とかの魔術関係を俺に振るなよ…そういうのはお前らの方が詳しいだろ」



魔力が無く当然魔術も使えなかった俺に使い魔云々とか聞かれても…



普通に考えたらコイツらが魔術関連の専門家なんだから俺に聞く事自体間違ってるわ。



「確かに魔術系は私達が専門的だけど…この場合は程人君じゃない?」


「だよねぇ…ってか神が使い魔だったらどうなるんだろ…?力を抑えてもソレでしょ?」


「…もうアレだな、いよいよ二次元と三次元の区別がつかなくなってきてるな」



神が存在する?しかも使い魔疑惑だぁ?前までなら鼻で笑ってた事が、今では中二病にかかってるごとく信じられるって事が信じられねぇよ…



エルーはそう言って手で顔を覆い俯く。



「まあ結論から言って、神を使い魔にする事は不可能だと思う」



リザリー達女性陣から、お前この空気なんとかしろよ…!的な目を向けられてるので…



とりあえずそう説明する。



「「「「やっぱり?」」」」



4人全員の考えがピッタシ合って言葉がハモった。



「そもそも小説の設定を現実に持ってくるなよ、神が下等生物である人間の使い魔になんてなるワケねーじゃん」



ソレがどんなにあり得ない事なのか、分かりやすく例え話で言うなら…



普通の一般人が牛や豚、鶏とかに『獲ったエサをやるから俺と契約しようぜ?』って言われてるようなモンだぜ?



どう考えても無理だろ?



牛や豚、鶏とかが獲って食べるエサを人間が食べると思うか?よしんば食べた所でその量で腹一杯になれるか?



人間の食べ物を牛や豚、鶏とかが食べる事はあっても、その逆はあり得ないだろ。



「ソレに…神を使い魔にするとしたら膨大な魔力がないと無理だと思うが」


「膨大な魔力?」


「ソレってどれくらい?」


「ん~…最低でも賢者クラスの5倍は必要じゃね?」



攻撃する時とかの魔力は除いて…な、と付け足す。



「賢者クラスの5倍って…」


「一般的な魔術師のおよそ50人分の魔力量だな」


「しかも、契約維持のための魔力消費量でしょ?」



一日契約維持するだけで魔術師50人分の魔力が必要になるんだ…とマキナは少し顔を引きつらせる。



「攻撃するなら使う魔法によって魔力の消費量が違うけど…最低でも維持消費量分は搾り取られると考えていい」


「…契約は出来たとしてもその後が相当大変ってワケね」


「これじゃチートな魔力量を持ってた所で魔法使われたら即底尽きて死ぬんじゃない?」



この議論で分かるように、人間風情が神を使い魔になんて出来るワケがないっつー事だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る