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「ぐ…おおおおお!!!」



装置が壊れ空間が元に戻ると同時に戦神アレスは咆哮する。



さっきよりも凄まじいソレは周りに居る魔術師達を吹っ飛ばし、200mは離れてる俺らの所まで衝撃が来るほど。



あれま、もしかして怒っちゃったかな?



「…なんか凄いね」


「お、やっと終わったか」



30人もの魔術師達を正に瞬殺する戦神アレスを見てマキナが軽くストレッチしながら呟いた。



「とりあえず時間を稼ぐだけだから無理はすんな」


「倒しちゃっても良いんだよね?」


「99%無理だと思うが、出来るなら」


「む…じゃあ行っきまーす」



俺の言葉が気に障ったのかちょっとムスッとしたような顔をして向かって行く。



「エルー、ここら一帯を封鎖…うおぅ!」



これ以上の被害を抑えるためにエルーに提案しようとしたら、思わぬ風圧に体が揺れる。



マキナ達の所を見ると拳と拳がぶつかりあってる状態だった。



リザリーとエルーも転ばないように踏ん張ってる。



…やっぱ化物と神の争いはやべぇぜ。



「マキナ!この大陸からは出るなよ!」


「分かった!気をつける!」



楽しそうに戦神アレスと殴り合ってるマキナに注意するように言うと、返事が返ってきた。



「とりあえず今から大陸の北側の人達を南側に避難させよう」


「…移動中に巻き込まれたりとかしないか?」


「確かにその可能性もあるな、じゃあもうあの一人と一柱を南側に移動させるか…」



はぁ…とため息を吐いてポーチからスタンを二個取り出す。



ピンを抜いて一つは上に投げて一つはマキナの後ろ側に影移動させる。



そして爆発と同時に俺らとマキナ達を壊滅している南側に纏めて影移動させた。



「エルー、リザリー…ユニオン側をコッチに来ないように抑えてくれるか?」


「「分かった(わ)」」



じゃあ俺は調停者にでも報告しようかね…



俺はマキナと戦神アレスの激しい殴り合いという名の戦いを見ながら小型無線機を取り出す。



「我だ」


「もしもし?今すぐ使者達を使ってアフリカ大陸の南西を封鎖して誰も来れないようにして欲しい」


「…遠の字か、足止めは上手く出来てるのであろうな?」


「そりゃもう…化物同士が戦ってる」



瓦礫も死体も木も…一人と一柱の攻撃がぶつかる度に何もかもが吹き飛んでるわ。



こっちにもめっちゃ飛んで来てるし。



「化物同士だと…?とりあえず完全封鎖はしておこう」


「んで?何か解決策は出た?」


「いや、まだもう少しかかりそうだ」


「もう少しって…なるべく早く出してくれよ、こっちはジリ貧なんだからさ」



いくらマキナが化物的な力になったとはいえ…神と違ってその時間は限られてんだよ。



「分かっている、引き続き足止めは任せたぞ」


「うおっ…と」



電話が切れると同時に大小入り混じった大量の瓦礫が飛んでくる。



一応余裕で避け切ったが、まるで戦争地帯に居るような感じで油断が出来ない。



「凄いな…」


「化物同士の争いは天災のごとく地形まで変えるわね」


「神と猛獣の戦いってなんかの神話っぽくね?」


「「あー…確かに」」



俺の冗談で言った言葉に二人は納得したように返した。



「つまり俺たちは伝説の神話を生で見てる、と言う事になるのか」


「かなりレアな体験ね…」



吹っ飛ばし吹っ飛ばされ、木を薙ぎ倒し建物を瓦礫に変え、地面を割り周りの物を吹き飛ばす。



そんな戦いを見物できたのはおそらく俺らが現人類初だろう。



そして神と対等に戦える人間という名の猛獣もマキナが現人類で初だろうな。

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