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ってか一時間でアフリカ大陸の半分を壊滅させるなんて相当暴れ狂ってんなぁ。



修復作業が完了するのに一週間はかかりそう。



「チッ…このままじゃアフリカ大陸からユーラシアに移るのも時間の問題だぜ」



こっちは全く対策が取れてないってのに…



「しゃーねぇ…アレスの足止めは俺の方でなんとかしとく、だから被害が広がらない内にこの事態を収拾させる対策を」



なるべく早くしてくれよ!と言って俺はアレスが暴れてるであろう国に影移動した。



「「「「うおおお!!!!」」」」


「足りぬ!もっとだ!ぐおおお!!」



…俺のスーパーな直勘のおかげで場所はビンゴだったが、状況がやべぇ。



大惨事っつーか大災害だよ。



おそらく色んな国のギルド所属の傭兵や色んな国の軍人達であろう戦士?達が戦神アレスに特攻をかけてるのに…



まるでハエでも払うかのように軽々と吹き飛ばされている。



そのほとんどが周りの建物に直撃して戦死。



何十人がぶつかった建物もほぼ倒壊状態。



例えるなら、走ってる装甲車に猫の集団が群がってきて吹き飛ばされてるような感じ?



かなりムキムキの筋骨隆々で上半身裸だからまるでなんかの漫画に出てくるバーサーカーっぽいな。



…かの英雄ヘラクレスって表現の方が似てるか?



ともかく…見てる場合じゃないんだけども、今の俺が手に負える相手じゃねぇよ。



身体能力をフルにしないと瞬殺されるぞ、コレ。



「ぐおおおお!!!」



どうすっかねぇ…と考えてると戦神アレスは建物が震えるほどの咆哮を上げた。



「っ!ちょっ…!」


「ぐぶぅ!?」



吼え終わると戦神アレスが地面を思いっきり殴ろうとしたので俺は慌てて影移動の応用で防ぐ。



流石にその力で地面を割られると修復に女神ガイアを呼ばないといけなくなるので困るんだよ。



あ、どうなったか説明すると…ちょうど戦神アレスが自分の影になってる所を殴ろうとしたので…



その位置から3cmほどズラした場所の影に空間を繋いだ。



つまり、自分の顔面を思いっきり殴って後ろに盛大に吹っ飛んだって事。



…影がある部分を殴ってくれて助かったぜ。



影移動って戦闘で使ったら半端なく強いんだよね、俺の裏技の一つだし。



分かりやすい技名を付けるなら『影反射』的な?



「ぐ、う…!ぐおおぉ!!もっとだ!足りぬ!全然足りぬわあ!!」



自分のパンチをモロ顔面に食らったハズなのに全く効いてない。



…どうしたもんかなー?周りの人に顔がバレるから俺が抑えるワケにもいかん。



人が居なけりゃフルで戦えんだけど、周りへの被害は激しくなる。



くっそー、変装解かなければ良かった!



…なんか他に良い方法は……



プルルプル…プルルプル…



必死で頭を捻って打開策を考えてると小型無線機が鳴る。



「ピー、現在この電話は使われて…」


「もしもし程人君?今どこに居るの!?」



メッセージのようにごまかそうとしたが無駄に終わった。



「今はアフリカ大陸で仕事中だ、忙しいから切るぞ?」


「待って!ちょうどその事について聞きたいと思ってて、一体何が起きてるの?」



どうやら戦神の所業はあいつらの耳にも届いているらしい。



「神が襲来して暴れ狂ってる、ソレをどうにかしないといけないから忙しいんだよ」


「え、神…?神ってずっと前に天界で見たあの?」


「アレは女神、今回のは男の神で戦の神だ」




…………!良いこと思いついた!!



マキナが身体強化をすれば今の戦神アレスと良い勝負が出来んじゃね!?



「マキナ!リザリーとエルーは居るか?」



戦神アレス対策としてリザリー達を利用…もとい、リザリー達に協力してもらおう。



「居るけど…なんで?」


「ちょいと協力してくれ、神と戦いたくないか?」


「え?いや、神って言われても…」



あまりイメージが湧かないのか微妙な反応が返ってくる。



マキナの事だからてっきりハイテンションの二つ返事が返ってくると思ったのに…



「そうか、まあとりあえず今からそっちに行くからリザリー達を集めといてくれ…時間が無い」


「分かった」



電話を切ると同時に俺は茂みの中に転がるようにしてある場所へ影移動した。



コレとコレで…まあ10分…5分稼げればいいか。



…まさかこの旧時代の遺物を使う事になるとは…



…勿体無いけど、使わないと宝の持ち腐れ。



物は使ってこそ真価を発揮するのだ!



直ぐにさっきの茂みに影移動して戦神アレスの所に戻る。



「セット、3…2…1」



箱状の旧時代の遺物のスイッチを押しカウントダウンをしてから戦神アレスの足下に影移動させた。

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