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「ま、話が早くて助かるからいいわ…と言うわけでココに移動して」
「何がというわけで、だよ…確かに軽い運動は終わったけども」
支度っつーか準備?全然してねぇぞ。
「せめて変装ぐらいさせろよ」
「あ…そうだったわね、私も変装しないと…じゃあ30分後に」
「ちょっと待て、拷問とか尋問するのは何人だ?」
「え?4人って聞いてるけど…なんで?」
早足で部屋から出ようとしたリザリーが立ち止まって振り向いた。
「それなりの準備しないといけないだろ?」
「…なんだかんだ言ってやる気じゃない」
俺の言葉を聞いてため息を吐き笑みを浮かべる。
「違ぇよ、さっさと終わらせたいだけだ」
「そう?…まあそういう事にしてあげるわ」
なぜか上から目線でそう言い部屋から出ていった。
32分後、準備も終わりリザリー共々とある軍事基地のトイレに影移動。
「どこで待ち合わせなんだ?」
「ちょっと待って、電話するから…」
「まだ決まってないのかよ」
「仕方ないでしょ、あっちがこっちの都合に合わせるって言ったんだもの」
少し黙ってて、と言われケータイを弄る。
「軍事基地ねぇ…もっと秘密基地っぽいと思ってたがココのは普通の基地だな」
軍事大陸にある基地は扉がID認識でしか開かないのが多かったのに…
普通のドアばっかりじゃん。
先を歩くリザリーに着いて行くようにしながら基地の中を見渡す。
「連絡が取れたわ、待ち合わせ場所はロビーだそうよ」
「ロビーって何処だよ」
「反対側ね」
ケータイをポケットに入れてくるりと踵を返して来た道を戻った。
「あっ!貴女がアリィさんですか?」
「ええ、初めまして」
ロビー的な広い場所に着くや否や軍服を来た黒人が小走りで近づいて来る。
…軍関連ではそういう偽名を使ってるのか?それとも使い捨てか?
「噂は上官からお聞きしてます…サミエル上等兵です、では所定の場所まで案内しますのでついて来て下さい」
黒人のお兄さんは爽やかな笑顔でリザリーと握手すると敬礼して先を歩いた。
ふむ…噂を聞いてるって事は使い捨てじゃねぇな。
「なあ、上等兵って偉いのか?」
「ただの下っ端、使いっ走りみたいなもんよ」
「ふ~ん…」
そういや俺って兵士養成学校を出てる割に兵士の階級とか全然知らねぇんだけど。
まあ今更知った所で…なんの関係も無いんだが。
基地内を歩き回る事10分。
いかにもな地下室に到着。
「いやぁアリィさん、この度はどうも」
「いえ」
拷問部屋の監視室?らしきモニターがいっぱいある場所に案内されると一番偉そうなおっさんが小走りで近寄ってくる。
「相変わらずお美しい…どうです今夜お食事でも」
「お誘いは嬉しいですが私には彼氏が居ますので」
「後ろのその少年ですか?」
リザリーの言葉を聞いておっさんは驚いたように俺を見た。
「いいえ、これは私の友人です」
「友人…?なぜこんな所に連れて来たんです?」
「尋問や拷問のプロだから連れて来ました」
「「「「「え?」」」」」
おっさんやこの部屋にいる軍人達、そして俺の声が見事に被る。
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