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「まあソレはさて置き、本題に入るわよ」



んんっ、咳払いして一旦空気を変えた。



…元上司からの伝言が本題じゃなかったんかい。



「今からとある軍事基地に行くからさっさと支度して」


「…はい?」



スクワットの途中で動きを止めて聞き返す。



「軍からの依頼を受けたの、だからあんたも一緒に来なさい」



まさかの命令形。



え?一緒に来れる?とか聞くんじゃなくて命令形?



俺にYES or NOの選択権はない系?



「なんで?軍関連は俺関係ないじゃん」



エルーかショコラ達の誰かを連れてけよ。



「今回の件に関しては私か程人が適任なの」


「……もしかして尋問とか拷問系か?」


「良く分かったわね…」



俺とリザリーの共通点はドSぐらいしか思いつかないのでそういった方向性で攻めたらなんとビンゴ。



リザリーは驚いたように俺を見ている。



「面倒くさいからパス、お前とマキナは魔術で人の記憶を探れるんだから一人で十分だろ」


「あのねぇ…人の記憶を覗くって結構大変なのよ?自分の記憶が上書きされるような感覚がするし、特殊な機器が無いとやらない事にしてるの」


「…魔術で探った相手の記憶の映像をその特殊な機器に送ってコピーすんのか?無線LANみたいに?」


「ええ、今なら内蔵や外付けのハードディスクにコピーも出来るし…DVDに焼き付ける事も出来るわ」



わお…こいつらの魔術も進化してんなぁ。



5、6年前まではほんのちょっぴり探れる程度だったのに。



人の記憶をDVDに焼き付けて売ったらヤバいぐらい儲かるだろうな。



特にエロ方面とか。



つーか雷魔術の汎用性のハンパなさ!!



幽霊を退治出来るわ、人の記憶を覗く事は出来るわ、人を操る事は出来るわ…



所詮人間は電気信号で動く動物だし…もはや時空間を操る事以外ならなんでも出来んじゃね?



幻覚、幻聴、幻痛など…身体を弄りたい放題。



その内俺と同じく死人を生き返らせる事も出来たりして。



しかも幽霊と同じく帯電、磁力の応用で触らなくても物を持てるようになったり、スパークさせて火を起こす事も可能に…



雷魔術を極めし魔術師はまさに生きる幽霊だぜ!



っと…いつものごとくズレてしまった。



「じゃあその特殊機器を持って行きゃあいいじゃねえか、嘘も黙秘も意味を為さなくなる」



尋問や拷問といった情報獲得にこいつら以上に頼りになるのはねぇじゃん。



自白剤?嘘発見器?拷問?尋問?そんなん時間の無駄だろ、的な。



多分この世の中で最強のハッカーといっても過言ではないぞ。



「だ・か・ら…結構大変だって言ってるでしょ?それに精神的にだって結構疲れるの」


「ふーん…拷問や尋問をやる方がまだ楽なのか?」


「当たり前、アレはストレス解消にもなるし…なにより楽しいじゃない」


「まあ楽しいってのは否定しねぇけど…」



それでも俺は面倒だから進んでやりたいとは絶対に思わない。



やるとしたら…どうしても、とか…仕方なく、やらざるを得ないって時だけ。



「とは言え拷問や尋問は好きってワケじゃないけどね…やらざるを得ない時だけよ」



…やっぱり俺と同じか。



まあ拷問とか尋問が好きってのは確実に頭がイかれてる奴らだけだろうし。



「で?今回のはお前が魔術を使うまでもない取るに足らない奴だけど、軍にとっては何かしら大事な情報がある…って事か?」


「程人のその勘の良さや察しの良さはもはや予知レベルだと思うんだけど…」



いやいや…ここまで情報が揃えば誰だってそう思うだろ。

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