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「うおっ!?」
更に複数の鉄板が凄いスピードで出てきてバリケードのごとく壁になった。
「あぶねっ!」
しかもそれだけでは終わらずに門が閉まるように左右から分厚い石のようなモノが結構なスピードで寄ってくる。
なんとか後ろに下がって潰されずに済んだが…
目の前は完全に通路では無く行き止まりの壁になっていた。
「何事だ!!」
どうしたものか…と壁を見て考えてるとハルトが走ってくる。
「お、なんかショコラがミスったっぽいぜ?」
「ミスった?…なるほど、大体事情は把握できた」
俺の一言で事態を察したのか、全く人騒がせな…とため息を吐いて来た道を戻って行った。
「ええー…」
いや、コレどうすんの?開くまで待ってる系?
早足で去って行くハルトの背中を見送ってると壁が突然動き出す。
凄いスピードで閉まった時とは対照的に緩やかーな動きで壁が元の門みたいな状態に戻る。
「いやー、メンゴメンゴ…ていとが魔物だったのを忘れてて人間としてのデータを打ち込んでてさー」
ショコラはさして悪びれる様子も無くそう言って再度手招きした。
メンゴって…かなり昔に俺が使ってた言葉じゃねぇか、良く覚えてたな。
「大丈夫なのか?」
「ん、データは上書きしたから」
「…本当だ」
門のような機械を見上げながら通ると流石に二度目は無いらしい。
おそらく仕組みとしては人間の電磁波で選定してるんだろうよ。
昔どっかの偉い学者が考えたプログラムだろうが…良くもまあ実際に機械に組み込めたもんだ。
「登録人数はどれくらいだ?」
「ん~…私とリザリーとマキナと…………10名くらいかな?」
「つーかお前らのはこんなの必要になるぐらいヤバい研究なのか?」
「なワケ無いじゃん、コレは元々私達が興味本位で作った試作品だし」
ていとの研究が行き詰まった時とかに気分転換でやってたから…趣味みたいな感じ?と振り向いて笑う。
…こんなのを趣味程度で作られたら他の高名な研究者とか発明家はたまったモンじゃねえぞ。
「どれくらいで完成したんだ?」
「ん~…理論とか完成してたから早かったよ、3年もかからなかったし」
「へぇ、そりゃ早い」
こりゃ人間を見分ける機械が研究所では一般的になる…なんて近未来SFのような時代も目の前だねぇ。
そのうち魔物が魔界に還って、世界中の至る所に道路が整備され車が人々の主要な移動手段になったりしてな。
「ココが空いてる研究室、研究器具は大体揃ってるけど…掃除してないから洗わないと使えないかも」
「はぁ…まずは清掃か」
面倒だ…でもあまり埃とか溜まってないのが幸いっつーべきかね。
「二人でやれば早く終わるでしょ」
「手伝ってくれんの?」
まさかの言葉が聞こえ思わず振り向く。
「うん、ここいらで好感度を上げとかないと」
「それは心の中に留めておけよ…」
つーワケでショコラと一緒に清掃開始。
研究器具と言ってもフラスコや試験管、ビーカーとかそんな感じの簡易的な物しか置いていない。
流石に二人がかりだったので研究室の清掃は思いのほか早く終了。
「手伝ってくれて助かったぜ」
「気にしないでいいよ、それより…なんの薬を作るの?」
「ん?この前あげたあのハイポー○ョン覚えてるか?あの在庫が切れたからソレを」
「あ~、あの回復アイテムね…作り方が気になってたから丁度いいや」
…明らかにココに居座るぞ!ってセリフだが、別にやらしい薬を作るワケでもないので特に何も言わなかった。
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