23










「はぁ…はぁ…くっ…!」


「ほらほら、頑張ってー」


「んなもんほっとけよ…ったく、面倒なお荷物を抱えちまったなぁ」



ハルトの弟子たる少年を見てボソッと呟きながら歩みを遅くする。



「まあまあ、どうせ事のついでなんだから」


「元はと言えばお前が勝手にハルトの頼みを受けたのが原因だろうが」



俺らは今、マントルワールドと言う地底世界に来ていた。



目的は材料集め。



あのハイポーシ○ン的な薬を作った後に余った材料で他の薬を作ろうとしたら、途中で材料が足りなくなったから採りに来た…っつーワケ。



なんでハルトの弟子が同行してるのかと言うと…



なんて事はないただの修行的なアレだ。



しかも俺が出かけようとした時にショコラが無理やり同行しようとして、ソレを知ったハルトが丁度良い!と弟子を押し付けてきたっていう。



本来ならば材料集めには10分も掛からない。



行き含めても、俺一人だったら。



なのにショコラの奴があの少年の修行に付き合うと言った所為で…!



もうマントルワールドに来てから3時間近く経っている。



予定のおよそ18倍以上の時間が経っているにも関わらず目的地はまだ遠い。



今で大体1/5…いや、1/4ぐらいかな。



…はぁ、あの少年に合わせてたら今日中には着かないと思うんだが。



「ここらで少し休憩する?」


「だ、大丈夫です…!」


「うーん…無理しない方がいいよ?」


「…じゃあ、すみませんが…お言葉に甘えさせて頂きます…」



少年はドサッと尻餅を着くような感じで地面に座った。



「おいおい…また休憩かよ、そんなんじゃ今日中には着かねぇぞ」


「しょうがないじゃん、無理して体壊されるよりはマシでしょ?体は資本って言うぐらいだし」


「だから連れて来んなって言ったんだよ」



とは言えショコラに負けた俺が影移動で連れて来たんだけども。



可愛く潤んだ目での上目遣い+首を傾げられたら誰だって勝てねぇって。



あれでも耐えられる奴は間違いなくゲイだろ。



男以外絶対に興味無し!って奴しか耐えられんぞ、マジで。



一応手伝う助けをするっつーアレだから俺が反抗出来るとしたら皮肉を言う事だけだ。



見捨てて先に行こうにも女の子を置き去りにしたとあれば紳士失格だから出来んし…



まあここらで好感度を上げとくのも良いかもな。



…あいつらの反応を見る限りでは今でさえMAXに近いかもしれんから必要無いかもしれんけど、一応念のため?



「す、すみません…なんか地下に下がるにつれて体が重くなっていくような、そんな感じがして…」



もちろん自分の気のせいだとは思いますけど…息を整えながら言う。



「あー…まあココは特殊な磁場の影響で他の場所よりも引力が強いからね」


「引力…?」


「早い話が下に進めば進むほど重力が強くなるっつー事だ」



この場所で大体地上の2.3倍ぐらいか?



「なるほど…だからこんなに体が重いんですね」


「ん~、体感的には地上の2.3倍ぐらいじゃない?おそらく君の体重は100kg近いかも」


「…目的地の最深部は最も重力がかかる場所で地上のおよそ6倍だ、コレで音を上げてたら死ぬぞ?」


「ろっ…!6倍!?」



俺の言葉に少年は愕然とした表情になる。



…ったく、ハルトの野郎は何を考えて同行を頼んだんだ?



明らかにレベルが足りないっつーかなんつうか…この少年にこの場所はかなり早すぎるだろ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る