06
「?私に用があって来たの?」
「まあそんなモンだ…その剣を返して欲しくてな」
「…え?この剣は貴方のだったの?」
俺の言葉に驚いてるのか不思議そうなのか分からない喋り方で首を傾げる。
「いや、今は俺のじゃないが作ったのは俺だ」
「??…え…!?」
右に左に首を傾けたと思ったら少し目を見開いて驚く。
…くっそ、見た目が可愛いからかその動作も可愛いじゃねぇか。
「…この剣を、作ったの?一から?」
「ん、だから返して?」
「嫌」
持ってる剣をマジマジと眺め俺の差し出された手を見て剣を抱き抱えるようにして拒否する。
「んじゃあ力尽くで奪うよ?」
「…やれるものなら…………?」
俺がそう聞くと女の子は身構え剣を抜こうとした。
が、鞘から抜けないのか不思議そうな顔で頑張って剣を抜こうと色々試行錯誤している。
「…ヌけない」
「良い言葉いただきました」
可愛い女の子がため息混じりで諦めがちにその言葉を言うってアレだ…
結構卑猥っつーか興奮はしないけど面白いのな。
「つーかセーフティが掛かってんだから抜けるワケがねぇ」
「…セーフティ?」
「俺が作った剣だぞ?俺に刃向かえないようにしてるに決まってんじゃん」
悪意が無く純粋に戦いたいって気持ちだけなら俺が相手でも抜けるようになってるけど。
「…たかが武器なのに…?」
「そう考えてる内はまだまだ青二才ダナー…武器とは己の命を守るモノだぞ?いわば盾や鎧みたいなもんだ」
自分の身体の一部同様、もしくは命の盾とかさ…まあ『武器には常に感謝』の考えに至ってこそ一人前だよね。
俺らは養成学校時代で武器を作る課題の時にその考えに至ったワケだが。
弱い武器を作れば早死に
弱い武器を選べば早死に
自分に合わない武器でも早死に
自分が使えない武器を選んでも早死に
長生きしたけりゃ自分に合う強い武器を作るか選べってな。
戦場では『弘法筆を択ばず』なんて通用しないし。
斬れ味の悪い直ぐ折れる剣を使って名剣と渡り合うなんて無理だろ。
受けるどころ受け流そうとしただけで折れるわ。
「…?剣は剣でしょ?」
「良く考えてみ?命を奪って命を守るとかなんか凄くね?」
「…矛盾してる」
「そうか?自分の命を守るためにソレを脅かすモノの命を奪うのは当然の事だろ」
『生きる』ってのは『殺す』と同義だし…
殺したくなければ死ぬ以外無いと思うが。
ま、人間が酸素と水と太陽光だけで生きられるようになれば殺さなくても生きられる世界になるかもな。
人類ナメ○ク星人化計画。
※葉緑体の影響で肌は緑色になります。
お!…って事は、世の中の人間の肌が緑色になれば肌の色トラブルとか無くなるんじゃね?
みんな同じ肌の色なんだし。
人類皆兄弟って言葉が実現する!
俺が内心現実逃避に近い脱線をしてる最中、女の子は必死に剣を抜こうと頑張っていた。
「だから、どうやっても抜けないって…」
その言葉を聞いて諦めたのか柄から手を離す。
「素手で戦っても俺に勝てない事は分かってるだろう?良い子だから素直に返しなさい」
「…前と今は違う…!」
女の子の姿が消えたと思った瞬間目の前に現れ顔面めがけての左ストレート。
「良い動きだ」
目線や重心、筋肉の動きからその攻撃が予想できてたので頭を軽く左に傾けながら避けてそう褒める。
「っ…!?」
まさか避けられるとは思ってなかったのか目を見開いて驚き、またしても顔面めがけての右エルボー。
「足下がお留守ですよー」
ソレをしゃがんで避けた俺は女の子の足を右手で掬う。
「あっ…!!」
「っと」
俺はそのまま横に倒れそうになった女の子をお姫様抱っこをするようにして抱きとめて立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます