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「にしてもその女将軍いいなぁ…国王でも食べれないような世界一の料理を食べれたんだ…」
「その時は国王も一緒に食ってたけど」
「あ!そう言えば!この前貰ったお肉、アレヤバいぐらいとてつもなく美味しかったよ!」
肉繋がりで思い出したのかショコラはテンションMAX!のごとくはしゃいで振り向く。
ヤバいぐらいとてつもなくって…どんな表現?
「ユリが協力してくれたからな」
「も~ハルトもエリアも珍しくがっついちゃってさ!コレが世界一なんだな~…って!」
「この世界ではソレが一番かね…」
魔界に行きゃあもっと美味い肉や水、果実に穀物…色々な食べ物や飲み物が存在する。
もちろんこの世界のヤツがソレ欲しさに行っても口にする事無く逆に喰われてお陀仏だろうよ。
「じゃ、私は行くね」
「ああ、気をつけてな」
「ん…私の方の用事が終わったら電話するから、ソッチが早く済んだら電話してね?」
「はいよ」
街から少し離れた国境までショコラを送り俺は手を振って現在はこの街に滞在中らしい標的の所に向かった。
「あ、すみません…ギルドの支部の場所って分かりますか?」
だが自分で探すのも面倒なため適当にそこら辺を歩いてるおっさんに聞いてみる。
「ギルドの支部?どのギルドのだい?」
「えーと…」
しまった!ユニオン以外の国はギルドが複数存在するんだった!
…くっそ、名前なんて覚えてねえよ。
「この国で一番のギルドなんですけど…」
「ああ、ユーフラスギルドか…ソコならその大通りを真っ直ぐ行って、三番目のあの看板を左に曲がり…」
おっさんの道案内が長いため省略。
曲がるだけで十数回だぜ?徒歩20分だとよ。
「ありがとうございます」
「迷ったら他の人に聞けばいい、じゃあ」
俺はおっさんに手を振って目的地に向かって早足で歩き出した。
「ココ…か?」
とりあえずおっさんに聞いた通りの道を進んだ結果…
昔の西部劇に出てきそうな酒場みたいな感じの建物に到着。
なんか両開きのスイングドアなのはそういう雰囲気を出したいからなのか?
ユニオンの支部の建物は全部役所みたいな感じなのに…
「まあいいか」
俺は考えるのを止めて人通りが少ない事を確認しそこいらの路地裏向かって歩く。
そしてポーチから小箱を取り出し、その小箱の中から更に紙袋を取り出す。
紙袋の中にはお歳暮とかお中元的なラッピングされてる箱が入っている。
当然調味料とかタオルとか食べ物とかは入ってないよ?
箱の中身はダイナマイト15本とビンに入ったニトログリセリン、小型のリモコン式爆弾だし。
コレを標的に渡し、開ける前に離れてスイッチを押せばドカン!というわけだ。
古典的ではあるがだからこそ効果が発揮される。
なぜなら、今時こんなのしないだろ…という思い込みがあるから。
警戒してない状態でのコレは効くだろ。
「こんにちは~」
危険な箱が入った紙袋を手に、俺は支部の中に入った。
「あら、お客さん?」
俺の声を聞いてカウンターに伏せっていた微妙に可愛いお姉さんが顔を上げる。
「あの…元円卓の騎士の人が現在このギルドに居る、と聞いて来たんですけど」
「…シッ!どこからその情報を…!?とりあえずこっちに来て」
急にお姉さんの顔が変わりカウンターから出てきたと思えば俺の手首を掴んで引っ張る。
「えと…あの…」
わけが分からない的な演技をしつつお姉さんに引っ張られるがままにカウンターの奥の部屋に連れ込まれた。
「ごめんなさいね、何処でスパイが耳を尖らせてるか分かったものじゃないから」
お姉さんは警戒したままドアを少し開けてロビーを見ている。
スパイねぇ…スパイどころかもう暗殺者が懐近くまで迫ってますけども?
つーかその反応って明らかにユニオンを意識してるよな?
「えーと…」
明らかに事態が飲み込めてませんよ~、みたいに反応に困って目を泳がせた。
「ふぅ…どうやらスパイは居ないようね、助かった…で?何しに来たの?」
「あ、はい…実は当主から円卓の騎士に媚を売るためにコレを渡して来い!と言われまして…あ!媚を売ると言うのは言葉の綾でして…!」
嘘の目的を告げてお姉さんに紙袋を見せる。
やっぱり今のこの時代だと貴族の使いっぱしり、っつーのは役に立つねぇ。
「ぷっ…あんた面白いわね、普通媚を売るだなんて直接言わないのよ?」
どうやらお姉さんの笑いのナニカに触れたらしく、クスクス笑っていた。
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