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「な、なぜあなたがココに…?…はっ!もしかして私に会いに来てくれたの!?」
…俺を前にして美人なお姉さんはもはやキャラが崩壊している。
さっきまでの殺気も冷たさも何一つ残らず霧散してしまったかのようだ。
「ま、まあ間違っては無い…」
「やっぱり!……あ、ちょっと着替えてもいい?///」
俺の言葉を遮って食い気味に反応すると急に自分の下着姿を恥じらいモジモジとし始める。
とりあえず後ろを向いて考える事に。
…え?アレってさっきのお姉さんと同一人物…?
いやいや、なんでこんなにキャラが変わってんの?
そしてなぜ俺への好感度があんなに高いのか。
戦うつもりでわざわざ来たのにすっげぇ拍子抜けっていうか肩透かしっていうか…
もしかして戦うための準備が無駄になった系?
……あー、ソレはまだ分からないか。
目的が違えば戦いになるだろうし。
「もう大丈夫」
そう言われ考えを中断して振り向く。
あー…服を来ても下着姿と大差ない。
ショートパンツに胸元を露出したTシャツだし。
ただヘソと肩が隠れただけやわ、服の意味なくね?
「あ…汚い部屋でごめんなさい」
「う、うーん…」
どういう反応をしたらいいか困る。
「それで、私に手紙がどうとか…」
「ああ、いや…ソレはただの口実だから…」
「ではなにしに?」
美人なお姉さんはニコニコ笑っていてさっきのような面影が全く無い。
…クールビューティーからキュートビューティーにチェンジした…?
「あーと…その前にもう一度確認してもいい?」
「はい」
「君が炎の冷三鬼女のシェリー・ミラリス将軍?」
「はい」
この質問でまた殺気を出すかと思いきや…普通に笑顔で頷く。
…うん、本人で間違いないらしい。
「先ほどは失礼しました」
今の状況に内心戸惑いまくりの俺に美人なお姉さんが頭を下げる。
「いや、別に気にしてない…ってかキャラ変わりすぎじゃね?」
遂に堪え切れなくなって聞いてしまった。
「…恥ずかしい話あなたと気づかなかったから…」
「違う違う、ソコじゃない…なぜ俺ごときにそんな好意的なんだ?って事」
俺だって分かるや否やあの手の平の返しようは誰が見たって…むしろ聞いたって異常だと思うだろ。
美人なお姉さん…もといミラリス将軍は俺の質問に一瞬面食らった的な顔をしたが直ぐに笑顔に戻る。
「あなたは私の恩人なんだから当然でしょ?逆になぜそう思うの?」
逆に、と言われ質問返しされた。
「いや…だって恩を恩で返すなんて珍しい事じゃないか?さっきも恩を仇で返されたし…俺だって恩に恩で返すなんてそう出来ないし」
ソレを期待してると心に隙も出来るしな。
「…確かにそうかもしれない…けどあなたは私の命を助けてくれた上にこんな能力まで授けてくれた恩人なのよ?仇で返せるわけないじゃない」
…うーん、コレが普通の反応…なのか…?
「でも俺の気まぐれだったワケだからそんな…」
結局恩を恩で返されても、恩を仇で返されてもアレだな。
「さっき恩を仇で返された、って言ってたけど…その人がもし私みたいに能力を貰った人だとしたら相当なアホでしょ」
ここで初めてミラリス将軍の顔が変わる。
「…あー、確かに」
「与える側と与えられる側、どっちが上位か分からないワケでもあるまいし…」
バカが生き残れるほどこの世界は優しくない、と呆れ顔でため息を吐く。
「…まあソイツは俺と戦おうとして死んだワケだけど、だからといって君も同じとは限らないよ?」
つーか男と女じゃ能力の与え方が違う。
男は能力を何回か使ったら必ず死ぬが、女は能力を何回使おうとも死なない。
女の子には生命力じゃなくて魔力を消費して能力を使えるようにしてあるから。
ソレに…たとえ俺と戦っても死ぬ事はないし。
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