17


「うおぅ…古い城だな…」



あのあと、研究所に着いて直ぐにサッサと準備を済ませミュンラに影移動した。



んで現地の調停の使者から詳細を聞いて今に至る。



俺は今…かなり昔に造られたとされる古城に向かって歩いてる最中だ。



なんでも城がある国は、王様になったら城に住めるんだとさ。



…ふーむ、異国の城とは違った造りだよなぁ…



…なんてぇの?いかにも外国の城!って感じ。



あ、どうやら調停の使者に聞いた所によると、新しい王は漫画や小説に出てくるような…ザ・独裁者!みたいな奴らしい。



自分に逆らう者

気に入らない者

邪魔だと思う者



上記に当てはまるのは処刑して自分の思い通りの国にする気だとか。



まさか今の世の中にそんな厨二病的なのを拗らせ過ぎて手が付けられない、みたいな奴が居るとは…



全く、そんなに人間同士で内輪揉めするのが楽しいのかねぇ?



そんな悪い方向に頭を使わないでもっと世の中を良くする方向に使えよな。



ベクトルが間違ってるっつーの。



…はぁ、とりあえず先に炎の冷三鬼女とかいう奴をなんとかしないと。



そういやあの女将軍、炎の冷三鬼女とか変な異名があるわりに本名は可愛い名前だったってば。



確か…シェリー・ミラリスだったかな?



ミラリス将軍、またはシェリー将軍って可愛くね?



「誰だ?」


「現在特別警戒中で城の中は関係者以外立ち入り禁止になっている、今すぐ去れ」



考え込みながら城門に近づくと守衛の兵士に忠告された。



あっと…俺は一応変装してるよ?



伊達メガネをして髪で目を隠し、服の上から黒いローブを羽織って頭をスッポリと覆っている。



いかにも暗い感じで…魔法使いのような格好?



「…ミラリス将軍宛に当主からの手紙を預かってまして…」


「手紙だと?ちょっと待て…」



兵士は怪訝そうな顔をして腰に下げてある無線機を取り何処かに連絡した。



「…面会は却下された、大人しく帰るんだな」


「そ、そんな…手紙を渡さないとクビに…」


「そんな事は知らん、将軍が会わないと言ったんだ…帰れ」



俺は兵士の言葉にガックリ項垂れるような仕草をする。



「あ、あの…ではせめて、何処に居て何をしてるかだけ教えて貰ってもいいですか?断られた理由を伝えればクビにならずに済むかもしれないので…」


「…分かった、聞いてやるからサッサと帰れよ」



哀れに思ってくれたのか兵士は再度無線機を取って連絡してくれた。



…もしかしたらこの兵士達、次将軍に会ったら殺されるかもしれんな。



俺に情けをかけたばっかりに…



まあ上手くいけばこいつらが殺される前に戦いは終わると思うけど。



「将軍は今自室でお楽しみの最中のようだ」


「自室…?」


「城の二階の左側だ、さあ帰った帰った」



聞いてもいないのにわざわざ部屋の場所を教えてくれるとは…ラッキー。



「…はぁ…せっかく来たんだし…古城だけでも目に焼き付けよ…」



ボソッと呟いて外壁を沿うように右側に向かって歩く。



中に入ろうとしなければソレでいいのか兵士達も何も言わない。



多分…外壁が7m近くあるからどうせ登れまい、とか思ってるんだろうよ。



甘いな、この程度ならまだ登れるんだよ。



城の周りをぐるりと回り警備が手薄な所を探す。



三周ほど回り、やっとの事で入れそうな場所を見つけた。



流石に二週目あたりから守衛がめっちゃ睨んでたけど。



俺はキョロキョロと辺りを見渡して人が居ない事を確認して助走距離を取る。



「よっと」



そして走ると同時にジャンプして城壁を少しだけ駆け上った。



「楽勝」



そのまま城内に侵入して女将軍の部屋を目指して普通に歩き出す。



こういうのはコソコソと隠れたりしないで堂々と歩いてる方が良いんだよネ。

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