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「丁度のタイミングでかかってきたから見られたかと思って少し焦ったぜ」


「あはは、ゴメンね…次からは事前に知らせるようにするから」


「さて…美味しい物を食べて満足した所でそろそろ行くわよ」



今度はリザリーが伸びをしながら近づいて来た。



「行くって何処に?」


「ホテルによ」


「コレ?」



俺は手を握って人差し指と中指の間から親指を出して見せる。



「?なによそれ?」



…え?コレの意味知らねぇの?



…って事はもしかして異国独特のジェスチャーだった、とか?



「いや…なんでも無い、つーか別にベッドインするなら研究所でも……っと」


「面白い冗談ね」



まさかの、どこに隠し持ってたのか…リザリーの方から木の串が10本ほど飛んできた。



当然普通にキャッチしたが。



「あ、手が滑った」


「おっとっと…ふぁ!?」



次々と飛んで来る木の串を全部キャッチしたと思いきや…



その刹那リザリーの後ろの方から凄い速度で鉄の串が二本、俺の目に向かって飛んで来る。



咄嗟にしゃがんで避けると後ろで鉄同士がぶつかる音がした。



「っぶねぇ…」


「チッ、惜しかったわ」


「なんだ今の?」



Vの軌道で左右から飛んで来たぞ?



おそらくさっき後ろからした音は串同士がぶつかった音だろうな。



「ボウガンを改造した物よ、初速で320km出る計算なんだけど…」


「いやいや、どうやって飛ばしたんだよ」


「あんたの受け答えが予想出来てたからさっき仕掛けておいたの、後はタイミングを図ってボタンをポチッと」



ポチッとじゃねえよ…あんなん下手したら両目貫通だろ。



…良く考えたら両目貫通してもちゃんと治るのか?



なんとか治っても失明!とかにはならないよな?



「…でも速度に特化した分、耐久的には一発が限界のようね」


「お前はホント事ある毎に俺を殺そうとするよな」


「どうせ死なないし効かないし当たらないくせに」



確かに物を投げられても受け止めるし、今は毒とか薬とかあんまり効かないし、暴力振るわれても避けるか受け止めるけども。



だからと言って事ある毎に殺しにかかるのはどうかと思うんだが。



「前からずっと気になってたんだけど…なんで殺しにかかんの?」


「少しでも印象を残したいから」


「…明らかに悪印象しかないぞ」


「ソレでもあんたのその鳥並みの記憶力しか無い脳に覚えてもらうのなら構わないわ」



鳥並みって…確かに興味が無かったり印象とかが薄いと直ぐに忘れるけどさ…



流石に一日二日ぐらいは覚えていると思う。



「いや、まあ…もっとこう…別のやり方もあるんじゃないか?」


「人間の記憶の中で一番忘れにくく思い出し易いのは不幸な出来事よ、昔あんたが脳科学の実験で実証してたでしょ?」



脳科学の実験…?そんなんやってたかな?全然記憶にない。



「ふーん…で?なんでホテルなんだ?ヤる以外の目的で行く理由とかあるのか?」



他国に行った時に泊まる場所として行くならまだしも…



なんで同じ国のホテルに行くんだ?



「あんたねぇ…ホテルには泊まる以外にも利用方はある事を知らないの?」


「知らん」



リザリーの問いに俺はキッパリと言い切った。



「…会議と称して集めたのよ」



ため息を吐いた後に可哀想なモノを見るような目で俺を見る。



「…………!ああ、そういう事」



やっと分かった!確かにヤる目的以外での利用方もあったんだな。



ハンター達へ出資してる貴族達の所に移動するのが面倒だから一箇所に集めて一気に話をつけるってワケね。



「良くもまあ集めれたもんだ」


「お土産のために頑張ったわ」


「…ドラゴンの肉を食べるためにドラゴン狩りに金出してる貴族達を止めようってのも中々面白いけどな」



自分は良くて相手はダメ!とか明らかに自分勝手な理由だぞ。

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