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「どうだ?交渉は上手くいきそうか?」
あの人たちは撤退して行ったのかエルーが近づいて来る。
「さあな」
『人間などに守られなくとも我が身ぐらい自分で守れるわ!侮るなよ!』
「そう言われてもなぁ…既にお前の仲間が一匹、その人間に狩られてんだよ」
だからわざわざ来てやってんのに…とため息を吐く。
『創造主…どうやらまた来たみたいだ』
「…お、本命のお出ましか」
ファイに促され後ろを振り向くとロープを伝って下りてくる人達の姿が。
その中にはリザリー達から聞いた凄腕のドラゴンハンターとやらもいるようだ。
身の丈ほどの大剣、190ほどの長身、ヘアワックスで逆立てたであろう短髪。
ココに来る前にエルーから聞いた特徴と一致するから間違いないだろう。
『中々強そうなのも混じってる…ま、マスターには敵わないだろうけど』
ふーむ…精霊であるユリが見ても強そうって事は実力者って事か。
「んじゃ、行くか」
俺はポーチから小箱を取り出して剣を出す。
そして小箱をポーチの中にしまう。
「なんだお前達は?」
100m進んだ中間地点に突っ立ってると噂?の奴が先陣切って歩いてきた。
「我々はドラゴンを保護しよう!という団体の者です」
そう説明するとエルーが、なんだそのネーミングは?と言いたげな目で俺を見る。
「ドラゴンを保護だと?馬鹿げた事を」
「超絶滅危惧種指定されてるんですから、狩ろうとするだけで重罪ですよ?なので帰っていただきたい」
あくまで丁寧に下手に出た大人の対応をした。
「ふん、何が絶滅危惧種だ…笑わせるぜ」
「どうしても、と仰るのなら実力行使させてもらいますが」
俺が言うや否やエルーが一歩前に出る。
「…強いな、だがそんな一般人のお守りをしながら俺らに勝てるかな?」
「怪我を負った状態で倒せるほどドラゴンは弱くないだろ?」
エルーは男の挑発に挑発?で返す。
「…なぜドラゴンを守る?」
「なんでって…お前らみたいなクズには勿体無いからに決まってんだろ」
「「は…?」」
今まで丁寧な対応をしてた奴が急に横柄な態度に変わったからか、ドラゴンハンター共は間抜けな声を出した。
「マトモに捌けないような奴らに希少なドラゴンを渡してどうする?お前らは無駄に個体数を減らして、金を貰えばソレで満足だろうが…」
「マトモに捌けない…だと?」
「ある筋からこの前のドラゴンの肉を手に入れてな…酷かった」
「だから、お前らみたいなクズから保護しようってな」
俺が吐き捨てるように言うと凄腕?のドラゴンハンターは背中に背負ってた大剣に手をかける。
「止めとけ、お前ごときじゃ俺には勝てん」
「そうそうコイツ強ぇぜ?秒殺される前に…」
男は最後まで聞かずエルーに斬りかかった。
当然受け止められてワザと鍔迫り合いの状態になってるが。
「はっ!秒殺だぁ!?殺れるモン…」
コッチも最後まで聞かずに後ろから無名で首を刎ねる。
「「う、うわあぁぁ!」」
ったく…誰がタイマンって言ったよ?
目の前の敵に集中し過ぎて俺にまで警戒がいってないって。
「雑魚ダナー」
「…少しぐらい遊ばせてくれ」
『創造主ってば殺すの早いよー!』
『みんな逃げてしまって私達の出番が無いじゃないか』
まさかの一人と二体にブーイングされるっていう。
さすがに主戦力が殺られたからか他の人達は我先にと急いでロープを登っていた。
「お前らってホント戦いが好きなのな…」
楽して終わればソレで良くね?つーか、良く考えたらさ。
コイツが凄腕のドラゴンハンターだったらもう俺らの出番無くね?
普通にドラゴンと戦おうと思う奴なんていないと思うし、そこまでの実力者なんてホイホイ出てくるもんじゃねぇだろ。
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