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「どうする?」
「どうするって…お、ロープがある」
おそらく今戦ってる奴らが谷底?に下りるために使ったんだろう木に縛られてるロープを発見。
「とりあえずコレで下りよう」
『先に行ってるよ?』
ユリとファイはそのままジャンプして下りて行く。
「いいなあ」
俺はポケットからハンカチを取り出して右手に巻きそのまま片手でロープを掴み勢い良く滑り下りる。
「グオオオ!!」
「クソっ!なんて強さだ…!」
「バケモノめ!」
「…あのー、お取込み中申し訳ありません」
エルーが来るのを待たずに俺はドラゴンを戦ってる奴らに話しかけた。
「なんだ?ココは一般人には危険だ!早く帰れ!」
「俺たちに一般人を守ってる余裕は無い!死にたくないなら見物は諦めろ!」
「実はドラゴンを保護しよう!という活動団体の者なんですけど…」
邪魔者扱いされてもめげずに話しかける。
「活動団体だと?」
「はい、活動内容は主にドラゴンの乱獲を防ぐことです」
名刺や旗を持ってるわけじゃないから証明は出来ないが…まあいいか。
「で?俺たちにこのまま帰れと?」
「そうですね」
「ふざけた事を言うな!仲間があんなに殺されたんだぞ?」
『戦わなければ殺される事も無かったんだし、自業自得でしょ』
ドラゴンは人間側に仲間が増えたと勘違いしてるのか警戒したように唸ってるだけだった。
「なんだと?この小娘が!」
「帰る気が無いなら実力行使する」
やっと下りてきたエルーが剣に手をかける。
因みに俺の剣は小箱の中だ。
だって剣なんて持ってたらドラゴンに敵だと思われるし。
「く…!」
『ただの下衆がマスターに勝てるとは微塵にも思わん、サッサと去った方が身のためだぞ』
さて、エルーとファイが人間側を牽制してくれてる間に俺はドラゴンとでも対話しようかな。
「よう、ハロー?ご機嫌斜めかい?」
『貴様…!何者だ!ただの人間では無いな!』
両手を上げて降参のポーズを取りながら近づくと一際大きく吼えた。
「まあな、魔王軍所属だ…お前らドラゴンを人間から守ろうと思ってな」
『守る…だと!?下等生物がほざくな!』
『うるさいな~…なんて言ってるの?』
ユリが耳を塞いでちょっとムッとしたような顔で聞いてくる。
あ、多分だけど…ユリの言葉はドラゴンに通じるんだろうけどドラゴンの言葉はユリには通じないらしいな。
言葉の一方通行…
「下等生物がほざくなって」
『む、ソレはちょっと聞き捨てならないなぁ…私達の創造主が下等生物なんてあんたみたいなトカゲが言えた事?』
『ぬ…!この感じ…まさか…!精霊!?』
…魔物と精霊の力関係は良く分からないけどなんか精霊に驚いてるみたいだ。
まあ精霊は自然の極みみたいなもんだからな。
魔物だったら自分より上位の存在に気づき易いんじゃないか?
人間よりも本能で感じて行動する分勘も鋭いだろうし。
『あんたみたいなトカゲ、私が指一本触れただけで倒せるんだからあまり調子に乗らない方がいいよ』
「まあまあ、そんな好戦的になるなよ…守りに来て戦ったら本末転倒だろうが」
『なぜ精霊が人間側に…!』
「どうやら精霊が人間側にいる事に驚いてるようだぞ」
さながら通訳のようにドラゴンの言葉をユリに伝える。
『人間側についてるんじゃなくてマスターと創造主についてるの!間違えるな!』
ユリがイラついたように言うとドラゴンは二、三歩後ろに下がった。
「一応言っておくと…別に守るっつっても特に何をするワケでもない、俺らの戦いに割り込まなけりゃそれでいい」
ハンターと戦ってる最中にドラゴンに邪魔されたら面倒だ。
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