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「ココだ」
10分ほど歩いた場所にある大きなテントの前で兵士が止まった。
「ちょっと待ってろ…」
そう言って兵士がテントの中に入っていく。
「はあ~…大軍で移動する時ってこんな大掛かりな事をするのか…」
「らしいわね、私も見たのは初めてだけど…そこらへんはあの女顔を除いた二人が詳しいんじゃない?」
女顔を除いた二人って…エルーとハルトの事か?
あいつらって結構軍人の仕事とかしてそうだもんな。
おのぼりさんのように辺りを見渡しながら兵士を待つ。
「んん?なんだお前らは?」
「見慣れない顔と服装ですね…」
「顔っていうか…なにそのお面?初めて見た」
テントの前で突っ立ってたら変な三人組が絡んできた。
…おお、結構強そうな奴らだ。
最近見た異国のあの…俺が潰した組織に居たあの強そうな奴と同じぐらいか。
確か…藍架は隊長だとか言ってたアイツ。
とりあえず用は無いのでシカト。
「あれ?反応無し?」
「俺は、なんだお前らは?と聞いたハズだがな」
「まあまあ落ち着いて…あなた方は誰ですか?」
優男風な奴が他の二人を制して質問した。
が、当然俺らはシカトする。
「おい!無視してんじゃねえよ!」
背の高い男がリザリーに掴みかかろうとして、その手を俺が掴む。
「ぐっ…!な、んだコイツ…!!ビクともしねえ…っ!」
手を動かそうと必死に力を入れてる男の呻き声を聞いたのかリザリーが振り向いた。
「離してあげなさい…」
「へいよ」
俺と男の行動を見たリザリーの言葉に従うようにパッと手を離す。
「ムダに騒ぎを起こさないで」
「だってアイツがお前に掴みかかろうとしてたから」
「申し訳ありませんでした」
仕方ないって感じでリザリーは男達に謝罪の言葉を言う。
もちろん頭は下げずに冷たい目を向けて。
「おい、許可が出たぞ…って、え?」
流石は珍しく空気を読むスキルのある奴だ。
タイミングを図ってたんじゃないかってぐらい丁度良くテントから出てきた。
「はっ!コレは隊長達ではありませんか!ご苦労様です!」
兵士は俺らの後ろにいた三人の男を見て瞬時に敬礼する。
「コイツらを連れて来たのはあんた?」
「はっ!じ、自分であります!」
「誰なんだコイツらはよお!?」
「ゆ、ユニオンの者らしく…しょ、将軍に面会を求めて来たのであります!」
兵士はかなり緊張したように敬礼のポーズをしたまま質問に答えた。
「ユニオンだぁ?どおりで躾のなってねえ奴らだぜ!」
「この変なお面もユニオンで流行ってるんじゃない?」
「ソレで、将軍はどうしろと?」
「はっ!通せとの許可を頂いております!」
笑う二人を他所に優男は笑顔で兵士に聞く。
「そうか…じゃあまだ殺せないね」
笑顔で言う優男に兵士は戦慄したような顔をする。
「なあ許可が出たって事は入っていいって事か?」
「そ、そうだ!」
「そ、案内あんがとさん」
隊長と呼ばれた三人を前にして明らかに萎縮している兵士に礼を言ってデカいテントの中に入った。
奥に進むと強そうなオーラを出し一目で分かるほど質の良い鎧を身に着けてる男が座っている。
…鎧なんて動き辛いだけだから俺には必要無いが…あの鎧はコレクションとして欲しい!
男は見た感じ30代中盤ぐらいで渋いイケメンみたいな顔だった。
「ども~…あんたがイグニスの将軍さん?強そうだし随分と良い鎧を着けてるねぇ」
「ほお?この鎧の良さが分かるか…君もかなり強そうだ」
「雑談は後でお願いします、先ほどの兵から聞いたように私達はユニオンの者として来ました」
リザリーは俺と全く正反対な品のある態度で言い頭を下げる。
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