17
「つーワケでこの話は終了、あと15分しかないが飯食ってこうぜ」
俺は無理やり打ち切って式部と藍架を誘う。
「先に行っててくれ、5分で済ませる」
「中毒者が…じゃあ先に行ってるぜ」
「ちょっ…押さなくても歩ける!」
式部の言葉に呆れたように返し藍架の背中を押してパーティ会場に向かった。
「そう言えば…愛梨は大丈夫なの?」
「心配ねぇよ、あのネックレスが守ってくれる」
なんせ最強のスライムだからな。
一応敵意や害意のある奴が愛梨に触ると極細のレーザーを放つように設定してるし。
パーティとかいうぐらいだから電気の光が大量にあるだろ。
藍架と適当に雑談しながら8階の部屋に入る。
「あ、お兄ちゃん達遅いよ!」
ナンパされてたっぽい愛梨は俺たちを見るや否や適当に頭を下げ急いで近づいてきた。
「悪い悪い、ちょっと古い知り合いと会ってて」
古いっつっても最後に式部と会ったのは6年前ぐらいなんだが。
「もー…こんな知らない人が大勢いる空間に一人でいるって結構寂しかったんだよ?」
「だから悪かったって…飯は食ったか?」
「え?うん」
「ねぇ愛梨、何が美味しかった?」
藍架は愛梨の手を引いて皿の並んでるテーブルの方に歩いて行く。
バイキング方式か…俺もなんか飲み物でも取ってこうかな。
「遠間のお兄さん…とはあんさんですかぁ?」
「?多分そうだけど」
飲み物が入ってるグラスを取りに行こうとしたら着物を着た和風美人なお姉さんが話しかけてきた。
「ほぅ…これはこれは、確かにどこにでもいる一般人みたいですねぇ」
和風美人なお姉さんはまるで俺を品定めするように頭からつま先までを見る。
「ちょっと身体を触っても?」
「…いやまあ構わないが」
腕をペタペタ触りながら了承を得ようと聞いてきたが…
ダメって言われてたらどうすんだ。
「見た目と違って中々鍛えられた身体ですなぁ」
「あちこち触るのはいいんだけど…公衆の面前だからちょっと恥ずい」
「コレは失礼、いやらしい気持ちはありませんので…」
ほほほ、と笑って少し離れる。
「私の紹介がまだでしたねぇ、式使 黒と申しますぅ」
「式使……え、黒ってもしかして」
式使と言う苗字は確か、式神使いの一族の中でも一番強いと言われてる。
そして主に名前に付く色はソイツの才能を表してると言われ…
順番は黒>紫>赤>青>黄>緑>白。
つまり、目の前にいる着物を着た和風美人なお姉さんはおそらく最強の式神使いだ。
「不本意ながら一番強いと言われてますなぁ」
「へぇ、式部よりも強いのか」
ココで少し式神使いの説明をしておこう。
式神使いの一族は全部で4つに分かれている。
式津 式部 式卜 式使。
『しきづ』『しきべ』『しきうら』『しきし』ね。
現在の強さ?は式使>式卜=式部>式津の順番らしい。
実際問題強さなんてのは戦い方の違いで変わるんだが…
分かりやすく伝えるとしたら、この順番って事で。
んで、一族から必ず一人は式神が使える奴が出てくる。
原理は知らんが確か式神使いの能力は譲渡も可能だったような…
特殊な儀式がうんたらかんたら~だっけ?
そして能力持ってる奴が一族の現当主にあたる。
当主が死んだらソイツの血縁関係の兄弟やいとこ、親戚に能力が移るんだと。
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