02
「お、電話?」
シンクに置かれてる皿を洗ってるといきなり音楽が流れ出した。
「私が出るよ」
「分かった」
水を止めると愛梨がソファから立ち上がって電話の所に向かう。
ソレを見て俺は洗い物を再開。
「え?うん、うん…大丈夫?…うん、分かった…伝えとくね」
あの電話の対応…勘だが多分受話器の向こうは藍架だろう。
「じゃあ…うん、頑張ってね、お姉ちゃん」
やっぱりな…おそらく組織に着いたら壊滅状態になってて、早急に手を打たないといけないどうのこうの…じゃね?
「藍架からか?」
「うん、仕事が急に大変な事になったから今日は昼頃にしか帰って来れないんだって…」
「大変な事ねぇ」
「それで帰りが遅くなる事をお母さん達に伝えて欲しいって」
本当に大変だな、妖怪の退治から事後の色々についての早急の対応。
今頃組織はパニックに陥ってたりして。
「ま、なんかあったら俺にも連絡が来るでしょ」
「連絡?って仕事の手伝いの?」
「そ、じゃあ皿洗いも終わったし…風呂にでも入るかな」
俺は拭き終わった食器を棚に入れて伸びをする。
「あ、私が先に入っていい?まだ入ってなかったから…」
「んじゃ、たまには一緒に入るか?」
とたとたとリビングから出ようとした愛梨に笑いながら提案した。
いや~、流石にその歳だと恥ずかしがって一緒には入らない…
「ソレでもいいよ?」
いいんかい!
まさかまさかだぜ…藍架もそうだったけど、こいつらって本当に俺の事は兄弟としてしか見てないのな。
このチャンスを逃すなんてバカな真似はしたくないので早足で愛梨の後を追う。
「あれ?そう言えば…お兄ちゃん、着替えは?」
「ん?ああ、コレを洗濯してからまた着るよ」
「持って来てないの?……お兄ちゃんの身体って細いね、腹筋も割れてないし」
服を脱いでる最中に愛梨が背中から脇腹から腹から二の腕から…ペタペタ触ってくるんだが。
ぐおぉ…ヤバい!
俺の息子が!反応しそうになっている…!
耐えろ!耐えるんだ俺!
妹に素肌を触られたぐらいで一々反応するんじゃない!
「?どうしたの?目なんか瞑って」
「なぜか急に念仏を唱えたくなって…南無阿弥陀仏~」
「それってお経じゃ…」
「だったっけ?いやまあどうでもいいけど」
なんとか心を落ち着かせて風呂場に入った。
あ、しまった…お湯溜めてねえ。
…体から先に洗えば多分終わる頃には溜まってるよな。
「ありゃあ…お湯溜めるの忘れてたね」
「体洗ってる内に溜まるよ、ほら」
風呂用の小さいイスを軽く叩き座るように促す。
あ、シャワーは出しっぱなしだよ?
だって最初は水が出るじゃん。
お湯が出てきたら止めればいいし。
「シャワーかけるぞ」
「うん」
お湯が出てるのを確認して愛梨の頭からシャワーをぶっかける。
ついでに俺もシャワーを浴びた。
「う~…あれ?お兄ちゃんなんで腰にタオル巻いてるの?」
「まだ湯気が充満してないから」
流石にまだアソコがツルツルだから恥ずかしい、とは言えん。
アレからもう半年近く経ってるのに…!
元々髪以外の体毛は薄い方だったけど、なぜ少しも生えないんだ…!
「ソレはさておき、頭洗うからジッとしてろ」
このままではタオルが剥がされるフラグが立ちそうだったので無理やり逸らす。
「あ~…お兄ちゃんの洗い方気持ち良い~…美容師の仕事でもやってたの?」
「それ、藍架にも言われたな…」
愛梨は俺がユニオンでどんな仕事をしてたか知らないのか?
知らされてないのか覚えてないだけなのか…どっちだろうな、っと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます