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「今は?」


「そそ、お前や愛梨とかに危害が及ぶなら敵対するかもな」


「まさか…敵対しても勝てると思ってるの?」


「当たり前だろ、殺すだけならワケないぜ…例えば妖怪と戦ってる最中に遠くから石を投げるとか」



当たるにしてもガードするにしても避けるにしても、スキができる。



投げるのは何も一回だけじゃない。



何回か投げてれば妖怪達にやられるだろ?



俺は藍架にだけじゃなく周りを見るようにして笑いながら話す。



「まあ…敵対するなら先ず最初にあのハゲや強そうな奴から殺すけど」


「組織ごと潰すなんて…正気!?」


「別に忍者の組織なんて各都道府県ごとにあるから一つぐらい潰しても関係なくね?」



だって東京の組織が壊滅しても他の県から支援的な感じで助けてくれるだろ?



まあ助けはすると思うが…しばらくは妖怪に悩まされる事になるよねぇ。



「それなら…今ココであんたを消す!」


「お前には無理だ」



藍架は素早い動作で俺との距離を一気詰めて刀を斜めに振り下ろす。



それを半身ズラして避けて、返す形で刀を振り上げようとした所を左手で手首を掴んだ。



「な…!」


「くっそ、斧を持ってるから片手しか使えね…」


「離せ!」


「はいよ」



手を離すと藍架は思いっきり刀を振り上げる。



「もう止めにしね?そろそろ別の所に妖怪が出てくると思うしさ…体力の無駄遣いだって」



さっきよりも強く振り下ろされた刀を斧で軽々と受け止めた。



「うるさい!貴様も妖怪だろう!妖怪は…滅するのみ!」


「怒った藍架も美しいけど…男をけしかけるのはちょっとな~」



後ろから斬りかかってくる男達を察知して藍架の刀を弾き後ろを向く。



「なに!?」


「殺しはしないよん」



無名を抜いて一人を突き刺し、斧の横面でもう一人の顔面を叩いた。



素早く剣を引き抜いて振り向き藍架の刀を受け止める。



「くそ…!」


「本来ならあの男二人は横真っ二つに斬り裂かれて死んでたよ?使うならもっと上手く使わないと」


「本部より連絡がありました!他の場所に妖怪が出現したようです!」



藍架が反論しようと口を開いたと同時に仲間の一人がみんなに聞こえるよう大声で報告した。



「それにさ、分かってる?一撃二撃じゃ俺は死なないかもよ?やるだけムダだって」


「…優先順位が変わった、別の妖怪の排除だ…行くぞ」


「また俺も強制連行?だったらせめてなんかご褒美くれよ」


「昨日…今日?の深夜にお風呂に一緒に入ってあげたじゃない、それに昼間はデレてたでしょ」



あー…アレってご褒美だったんだ。



姉弟の間で発生するイベント的なアレじゃなかったのね…



つーかアレでデレてたって…病んデレじゃねえか。



「…んじゃこれから手伝う代わりに、家とか仕事時間以外では俺の命を狙わないでデレててくれよ」


「分かった、交渉成立ね」



…ホントかぁ?



いやでも裏を返せば仕事時間内には命を狙ってもいいよ。って事になるんだよな?



どのみち毎日手伝えば毎日命を狙われるっていう、殺伐とした雰囲気になるのが避けられねぇ。



ただサービス残業とか時間外労働が無くなっただけで…



圧倒的に藍架が有利な交渉じゃねえ!?



……やっぱりこの国に戻って来たら毎日命を狙われるハメになるのか。



戻ってきてまあ収穫っつー少しのメリットはあったが…それ以上にデメリットがでけえ。



実の姉には毎日命を狙われて殺されかけるし、実の母には罵詈雑言を浴びせられるし…



強制的に帰国させられたとはいえ…サッサとユニオンに戻るべきだったな。



…軽く後悔しつつ、藍架の後ろについて行くように建物の上を駆けて妖怪の元に向かう。



「そういえば…あんた、愛梨に感謝しなさいよ?」


「ああ、解剖うんぬんか」


「そう…愛梨が可愛くお願いするから泣く泣く諦めたの」


「どちらかと言えば感謝するのは忍者側だろ…今の俺には女以外の弱点っつーか逆鱗?は無いし、おそらく解剖台で目を覚ましてたらキレて建物ごと破壊してるぜ」



絶対、証拠隠滅のために女以外は殺して建物も破壊倒壊させてだろうな。







~~~~~~~~~妖怪殲滅中ーーーーーーーーー










































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