28

「あ、じゃあ私からお姉ちゃんに手を出さないようお願いしとくよ」


「ソレなら…いいか」


「やった!」


「…んじゃ藍架に伝えてくるわ」



他の忍者にも警告しとかないといけないし。



愛梨や藍架を巻き込んで俺を狙うようなら間違いなく殺す、と。



「え?帰って来てからでもいいんじゃない?」


「ん~…ちょっと言いたい事もあるしな」


「そっか、行ってらっしゃい」


「おうよ」



なぜか愛梨に見送られて家を出た。



…別に見送ってくれなくてもいいのに。



俺はキョロキョロと辺りを見渡しながら人気の無い場所まで行く。



あんな所まで走るのは難儀だから影移動しよう。



藍架は今どこにいるかなー?っと。



ポーチから折り畳みナイフを取り出して指を刺して血を舐める。



………いた……夜は影だらけだから探すのがかなり楽だな。



視線とかは感じないが…一応建物の壁をすり抜けるように移動した。



夜にスタンを使ったら逆に目立つから使えないんだよね。



「おー、いたいた」



大量の妖怪を相手にしてやがる。



忍者の数18人ぐらいに対して妖怪は60匹近く。



…面倒だけど手伝いに行こう。



俺はポーチから小箱を取り出して斧を出した。



「おーい、藍架ー!」



藍架の名前を呼び外側から雑魚共を斧で蹴散らして進む。



「っ!?程人!?」


「余所見するのはいいが、隙を作るなよ」



声が聞こえたのか藍架が俺の方を振り向く。



その隙を狙って妖怪が藍架に襲いかかってたが、俺が斧を投げてその妖怪の頭をカチ割った。



「ばがべえ!!」


「おっと、俺は丸腰じゃないぜ?」



飛びかかってきた妖怪を無名で切り裂く。



「藍架ー!斧を返してくれー!」



そう叫ぶと斧が俺めがけて凄いスピードの縦回転しながら飛んでくる。



「危ね」



ヒョイと避けると後ろにいた妖怪達の頭を縦に斬り裂きながら飛んで行った。



「あんなん取れるかー!もっと優しく投げろよ!」


「うるさい!こっちは手一杯なの!邪魔するなら帰れ!」


「チッ…じゃあ帰るよ」


「やっぱり手伝え!」



ええー…帰れって言ったり手伝えって言ったり…生理でちょっと精神が不安定なの?



二日目か?4日目か?…一番酷いのが何日目か知らんけど。



俺は斧を拾い妖怪包囲網の外側から一匹ずつ潰して行く事に。



「あ!藍架危な…!」



またしても危険な状況になった藍架を助けるために斧を投げる。



…忍法だか忍術で炎や氷、水やら飛び交ってるのになんで危険な状況になるんだよ!



もう忍術だか忍法に加えて妖怪やら斧やらが飛び交ってカオスだぜ…



今度は普通に飛んできた斧が目の前の妖怪の頭に刺さってカチ割った。



全く…地面が凹むぐらい潰さないと回復するなんてめんどうだなー。




それから30分。



ようやく妖怪の群れを倒した。



「あんた…なんで動けるの…?」


「いっぱい寝たからじゃね?それか愛梨が看護してくれてたからか」


「あれだけ大量に血を流してたのに…」


「痛くは無かったが苦しいではあったな」



呼吸もままならなかったし、全身が痙攣するし、血は止まらないしで。



「で?何しに来たの?ワザワザ消されに来たとか?」



藍架は刀を構えて俺を威嚇するように睨む。



周りを見るとみんな武器を構えて警戒している。



「なワケないじゃん、ちょっとした伝言を」


「伝言?」


「家に帰ったら聞くかもしれんが…愛梨が明日俺と藍架と三人で遊びに行きたいってさ、あとソレに関連して忍者の人達に警告しとこうと」


「「「警告…?」」」



数人が険しい顔になって更に武器を強く握った。



「そ、警告、もし…藍架や愛梨を人質に取って俺を殺そうとするのなら、女以外はどんな方法を使おうが殺すからさ」


「女以外…?」


「ん、女の子には性欲処理としての使い道があるじゃん?だから殺すなんて勿体無い事はしないよ、拘束して調教して…必要としてる人達に売る」


「ゲスめ…!」



俺の斜め後ろにいた女の人が吐き捨てるように言う。



「勘違いすんな、俺の家族や知り合いを巻き込んだ場合だけでそれ以外は普通に返り討ちにするって」



ゲスい事をされたらゲスい事でやり返す、普通に来たなら普通に返り討ちにする。



女の方を振り返り斧を肩に乗せてダルそうに言った。



「…あんた、この人数を前にして良くそんな事が言えるわね」


「だってソレを本部に報告してもらわないといけないじゃん?あのハゲなら分かってくれるだろ」


「宣戦布告する気?」


「まさか、俺は敵対する気なんてないぜ?今は」



そっちが勝手に敵視して敵対してるだけで、俺は至って普通なんだが。

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