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料理を極めた料理人の周りに集まるのも、またそういう料理を極めようとしてる料理人達。
誰も死体に驚かず、逆に取材班が驚いてる事を不思議に思ったそうだ。
それが世界中に衝撃を与えて………そのまま魔王軍に入ったと。
魔王は総料理長の作る料理をえらく気に入ってるし。
その総料理長曰く『この世界に存在する生物全て、料理の材料だ』との事。
あの人の凄い所は、雑草や木の根はもちろん枝から葉っぱから…
日々どうやったらそのありふれた植物を美味しく料理出来るかを研究している所だ。
料理の真髄は出来損ないの材料を美味しくする事。
料理人のプロは品質の悪い食材を使っても一流の料理を作れる人。
俺から言わせてもらえれば、品質の良い食材を使えば美味い物を作れるのは当たり前。
そんなの素人(最低限知識がある人)が料理しても美味しくなるわ!
傷んでたり、傷みかけの…品質の悪い食材を使って美味い料理を作れてこそのプロだと俺は思うね。
だって俺や魔王城の総料理長はソレが出来るから。
ソレが出来ない奴はプロでもなんでもねぇ……ただ食材が美味いだけだろ?
料理が上手い奴はどんな食材を使っても美味くできんだよ。
ソレが出来るようになってからプロを名乗れ!
かなり安い食材を使って一流の料理を作ってみろ。
「ごちそうさま」
「はやっ!もう食べ終わったの?」
考えに耽りながらも洗い物を済ませて昼飯を食べ終えた。
「藍架ももうすぐで食べ終わるさ」
「…私より結構あとに食べてたのに」
シンクに食器を置いてカゴにお湯を溜める。
「ごちそうさま」
「はいはい、お粗末様ー」
藍架から食器を受け取ってカゴの中に入れて洗う。
「手伝おうか?」
「んじゃ拭いて」
「分かった…にしても料理上手だねー」
「料理できる男はモテるって聞いたのに…」
実際女の子にその料理の腕前を披露する場がない!
モテるために頑張って身につけた技術のほとんどを女の子達に披露する機会がないっていう悲しさ。
「さて…と」
またしても忍者のお出ましか、懲りない奴らだな~。
俺は最後の一枚の皿を藍架に渡して布巾で手を拭き、ソファの所へ向かう。
ココに来るまで約10分ちょい、って事は1kmぐらいは離れてるのか?
敷かれてる新聞紙の上に朝からずっと放置されていた抜き身の無名を鞘に納める。
「あ、あんたのその剣…」
「ん?」
「なんか凄そうなんだけど、どこで買ったの?」
「俺の手作りだし、最高傑作の内の一本」
藍架は拭いた皿を棚に戻し、驚きながら俺を見た。
…あと20秒早かったら皿は床に落ちて割れてたであろう驚き方だな。
「え…?それ…自作…?てか刀剣の数え方は一振り二振りだよ」
「だったっけ?あー…この国の言葉じゃそうだったかも」
最近は日本語を喋る機会があまり無かったから、ど忘れしてた。
「それで、どうしたの?急に剣なんて持って」
「藍架のお仲間さんがこちらにおいでなすってるようだから」
「…ソレ、微妙に言葉使いおかしくない?…もしかしてあの斧も自作?」
どうしても気になるのか、チラチラと斧を見ながら質問する。
…忍者が来た事にはスルーなんかい。
「アレは悪名高い盗賊団を壊滅させた時に奪った物、多分どっかの国の秘宝かなんかだろ」
デカイくせに軽いし、斬れ味も抜群で何より扱いやすい。
おそらく現代にはもう無い材料で作られた物じゃね?
「現代には無い材料……それより、盗賊団を壊滅させたってのが気になるんだけど」
「その話は後でな、そろそろ外で待ち伏せをしとかなきゃいけんから」
ポーチから小箱を取り出し斧を入れて外に出る。
…人気の無い所はどこかなー?
家の屋根に上がりキョロキョロと辺りを見渡す。
…全く、こんな昼間っから来ないで欲しいぜ。
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