26
「いたぞ…!油断するな」
「ああ、分かってる」
「見た目に惑わされたらヤられるぞ」
…バカみたいに俺を追って来た忍者を山の所まで誘導するように逃げた。
「早い!?」
あとは気配を消して木の上に隠れて一人になった所を上から襲う。
1時間後。
気絶した奴らを背負って街の端っこまで運びドサドサっと路上に放置する。
両腕と肋骨を折ったぐらいだから重傷ってワケでもないし…目が覚めたら勝手に撤退するでしょ。
因みにツボ押し剣で倒した後に骨を折った。
俺の手を煩わせた代償はキッチリと払ってもらわないとな。
「ただいま~」
「おかえりー…どうだった?」
「楽だったぜ…え?」
藍架はトタトタと笑顔で出迎えてくれたと思ったら、手に持ってる包丁で俺の腹を刺そうとした。
「チッ…」
なんとかギリギリ避けれたが…なんか包丁に塗られてやがる。
「危ねぇ…何すんだよ」
「何って仲間の敵討ちに決まってるじゃん」
「…お前まで俺を狙ってるんかい」
「当たり前でしょ?この国に妖怪であるあんたの居場所があると思ってんの?」
…不思議そうな顔で話す藍架が一瞬病んデレ的なアレに見えた。
あんたを殺すのは私なの!その前に他の人に殺されたら許さないんだから!!みたいな。
そういう奴に限ってピンチの時に味方になってくれるし、逆にそいつがピンチの時は助けてあげたくなる…ってのは何故か?
おっと、相手が女の子に限った事だからね?
当然男は論外だから。
「なに?私の顔になんか付いてる?それともこの包丁に塗られてるのが気になるの?」
「…塗られてるのが気になる」
「右側にはトリカブトの毒で、左側にはマイト…うんたら」
「マイトうんたら…って…!マイトトキシンの事か!?」
「そうそれ」
思い出した!みたいに俺に包丁を向ける。
「おま、それってフグ毒と言われてるテトロドトキシンの約200倍近く強力な毒じゃねえか…」
「そうなの?」
「そうだよ、流石に刺されたら下痢になるぞ」
…まあ俺に血を操る能力がある限り、どんな猛毒でも効かないけど。
「猛毒に冒されても下痢になる程度なんだ…」
「なんなら刺してみるか?もしかしたら殺せるかもよ?」
「うーん………じゃあお言葉に甘えて」
冗談混じりで服をめくって腹を出すと、藍架は少し考えて思いっきりぶっ刺した。
「おうっ!」
俺の腹を包丁が貫通するぐらい。
そして毒を擦り付けるようにちょっと前後に動かす。
……まさか、本当に、刺すとは…!
普通なら…小説ならば、刺さないで、好感度が、上がる場面だったのに …!
全身の力が徐々に抜けていき、藍架が包丁を抜くと同時に膝から崩れて床に倒れた。
…倒れて数秒もしないうち床のフローリングに血だまりが出来る。
や、べえ…マ、イト、トキ…シンに気を、奪われて…トリカブト、の毒を、忘れてた…
ビクビクと痙攣し始めた俺を無視して藍架は包丁を洗いに行っていた。
………これ、マジで、やべぇかも…死ぬ、までは、いかんと、思うが…
まるで過呼吸のように呼吸が荒くなっていく。
…どうせ、能力で、復活しても…また、同じ事を、されるん、だし…
もし、かしたら…この、状態の、まま…の方が、好感度…上がる、かも…
それ、なら……………
これ以上は流石に長いし飽きそうだから省略。
とりあえず邪な考えばっかりしてる内に俺は意識を手放した。
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