24
約3時間40分ほどに及んだ自転車との長い闘いが今幕を閉じる。
…ぶっちゃけ分解しなかったらこんな面倒な事態にはならなかったと思う。
まあ過ぎた事を言っててもしゃーねぇべ?
これで自転車の構造や組み立て方が分かったと思えば無駄な時間じゃなかったよ、うん。
…異国以外では全く必要としない知識だけどな。
ため息を吐きつつ家の中に入り、かなり汚れている両手を洗う。
「アレ、直ったの?」
「おう」
ソファに座ってテレビをつけてるにも関わらず雑誌を読んでる藍架が話しかけてきた。
「…よくもまああんな状態から…」
「コレも俺の手先の器用さが成せる技だ…ひいては今までの努力の成果だな」
冷蔵庫を開けながらお互いに全く顔を合わせずに喋る。
「昼飯食べたか?腹減ってんならなんか作るぞ」
「まだ、じゃあ作って?」
「野菜炒めと…豆腐ステーキ、あとは…おっ!肉が余ってんじゃん、ピカタで決ーまりー」
材料と飲み物を冷蔵庫から出して飲み物を飲みながら料理を始めた。
野菜を水で洗い、皮を剥いて切る。
剥いた皮は小さい鍋に入れて水ごと火にかけた。
そしてフライパンに油をひいて少し熱し、切った野菜を投入して炒める。
野菜を炒めてる間に豆腐をパックから出して横に微妙な厚さで4枚に切った。
それをまな板の上に置き、フライパンの持ち手を持って揺すり炒めてる野菜を混ぜる。
そのあとラップを広げその上に肉を置いて包丁で適当に切れ目を入れ、小麦粉を塗した。
そして野菜炒めに少量の醤油と味の素を入れて味を整え…完成。
火を弱くして棚から皿を取って盛る。
キッチンペーパーでフライパンを軽く拭いてから少し油を入れ、火を強くする。
そんで軽く熱してから豆腐を投入。
少しして少量の醤油とみりんを入れてフライ返しで豆腐をひっくり返し両面に焦げ目を付けた。
できたら野菜炒めが盛られてる皿に移す。
…なんか料理番組みたいになって来たな…
まあ後はピカタだけだし、最後まで説明するか。
んでフライパンをキッチンペーパーで拭いて油を入れる。
おっと、説明し忘れてた。
さっき…肉に小麦粉を塗したって言ったけど、塩と胡椒も混じってるよ?
下味付けねえと味ねぇし。
次に小皿に卵の殻を割って中身を入れ、混ぜる。
その溶き卵に小麦粉まみれの肉を入れてフライパンに投入。
両面に焼き目が付いて中に火が通れば完成。
ここでさっきからお湯と一緒に煮立ってる野菜の皮が登場。
ミキサーでペースト状にして醤油だの砂糖だの入れて一煮立ち。
最後に水に溶かした片栗粉でトロミをつける。
…片栗粉を水に溶かさないでそのまま使ったら面白い事になるぜ。
そんでソースとして豆腐ステーキにかければ美味いよ?多分。
卵と小麦粉をつけて焼いた肉を野菜炒めの皿に入れれば料理は終わり。
皮むきから炒め終わるまでおよそ30分ほどで3品完成。
「出来たぞー」
俺と藍架の分をテーブルに置いてフライパンなどを洗う。
調理器具は使って直ぐに洗うのが常識だよね。
直ぐに洗わないと…時間が経てばどんどん面倒になってくるし。
「おー、予想外に美味しそう」
「はっはっは、俺は料理もプロ級だからな」
牛や豚や鶏とかの動物はもちろんの事、魔物とか人間なんかも完璧に捌けるんだぜ?
魔物は魔界で自己流や魔族の人達に教えてもらい、人間の捌き方は魔王城の100%人間である総料理長に教えてもらった。
料理を極め過ぎて、人間さえも料理して人間社会から追い出された異端者。
人間料理を研究するために5年費やし…犠牲?になった人間の数は3桁を軽くオーバーするらしい。
普通に自分の店で人間料理を提供してて、世界中のテレビで取り上げられるほど大絶賛されたんだと。
連日取材が続き、一年が経った頃…
某テレビ局の取材班が料理の現場を取材した所で材料に人間を使ってる事が発覚したってさ。
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