23
帰りは普通に自転車を走らせて家路についた。
…まさか学校に一回送っただけで前輪ブレーキが壊れてタイヤがボウズ一歩手前になるとは。
こりゃ直さないと次は乗れないな。
駐車場に自転車を置いて家に入ろうとすると…
まさかのドアに鍵がかかってるっていう。
当然俺は鍵を持っていない。
…もしかして藍架が起きてくるまで家に入れない系?
どうしようか、幸い小銭入れは持ってるから少しぐらいなら買い物はできるが。
…しゃーない、とりあえず近くのホームセンターで道具と飲み物でも買ってこよう。
自転車を直してる間には起きるだろ。
つーわけで近く(徒歩30分)のホームセンターに買い物に行った。
そして自転車を直そうと奮闘する事3時間。
「なぜ…こうなった?」
俺の目の前には元自転車だった物体が転がっている。
ブレーキだのタイヤだのを直すために一旦分解した所、どう頑張っても元に戻せなくなったのだ。
「…おかしい、元の形は覚えているのに…なぜ…?」
バラバラになってるパーツを手に取り何十回目か分からない組み立てを再開する。
「…あれ?外にいたの?」
ガチャ…とドアを開けて家の外に出た藍架が駐車場にいる俺に気付き声をかけた。
「んあ?ああ、鍵がかかってたから中に入れなくてな」
「電話すれば良かったのに…ところで何してんの?」
「自転車を直してんだけど…上手くいかねぇ」
やっぱり何事も初めては上手くいかないのが普通だよな。
「…ソレだけバラバラに分解してたらもう無理じゃない?」
「…いや、必ず直してみせるぜ…で?どっか行くのか?」
腰にポーチを付けてるのを見て疑問に思い聞く。
「すぐそこのコンビニだけど、なんか欲しい物ある?」
「マスカットティーで」
アレ、ものすごく美味いんだよ。
ほぼジュース買う時は毎回と言っていいほど買う。
もうハマり過ぎてマスカットティー中毒と言えない事もないかも。
「…?なにそれ」
「大人の紅茶っつーやつで、1リットルぐらいかな?あ、あと自転車の本もあったら買ってきてくれ」
「大人の紅茶はさておき、自転車の雑誌なんて売ってるかな…?とりあえずあったらね」
「頼むよ」
じゃあ留守番よろしくね~…と藍架は歩いて行った。
10分後。
「ぬぐぐぐぐ…!」
「ただいまー」
チェーンをどうやってはめようか苦戦してると早くも藍架が帰宅。
「…おかえりー」
「はいコレ、飲み物は冷蔵庫に入れとく」
「おお!コレは…!自転車の雑誌じゃないか!」
藍架から受け取った雑誌には『自転車マニア』というでかい字が表紙に書かれている。
早速パラパラとページをめくり内容を見るが、当然というべきだろうな。
自転車の構造や組み立て方などは一切載っていなかった。
掲載されてるのは自転車の種類や値段、ツーリングコースやコラムに体験談ばかり。
「ふむ…まあ見よう見まねでも組み立てられるだろ」
ママチャリが載ってるページの角を曲げる。
幸いママチャリは色んな角度から写真を撮られてるようで一応参考にはなるかもしれない。
俺は雑誌を見ながら適当に自転車を組み立て始めた。
30分後。
「できたー!直ったぜぇ!」
なんとか自転車を直す事に成功。
分解したパーツも壊れたブレーキや削られたタイヤ以外、余る事なく全て使い切った。
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