18
「いや~、もう母さん凄い…こんなに妖怪に関わる人生なんてそうないんじゃない?」
おっと、一般人で。が抜けてしまった…まあいいか。
「なんなのよ…!私が一体何をしたっていうのよ!」
「実は母さんの先祖も陰陽師だったんじゃね?」
びっくりする事に…母さんの両親と父さんの両親は出身地が同じ村だったとか。
確か、母さんに聞いた話じゃ…最初の出会いは父さんが母さんの在籍してた中学校に転入してきて同じクラスになった時、って言ってたっけ?
それから父さんが、一目惚れした!とかでしつこくつきまとっていたらしい。
……血は争えない…か。
俺もリザリーやマキナと仲良くなるためにしつこく、つきまとい的な?ソレに近い事をしてたからな~。
ウザがられても、シカトされても、罵声を浴びせられようが頑張って話しかけ続けたさ!
その結果が今だ!なんか半年ぐらい続けてたら友達になってくれた。
もちろんちゃんと引くべき時は引いたよ?
「あんたまでそんな…!なんで妖怪は私を苦しめ続けるの!?」
「俺はただココにいるだけ、だけどな」
「あんたが今!ココに!私の前に!存在してる事が!私を苦しめてるのよ…!そんなに私のトラウマを抉るのが楽しいの!?」
うーん…ダメだこりゃ。
トラウマを刺激されたからか、一気に精神的に不安定になってしまいヒステリーのような状態に陥ってるや。
父さんが下りて来てくれれば精神的に安心して多少はマシになるんだろうが…
あいつにそんな主人公や脇役のようなイベントを求めるのは無理があるよな。
「さっさと出て行きなさいよ!この化物!」
「俺が化物ねぇ…母さんは生前の俺を見てずっと化物だと思ってたわけ?」
「そんなわけないじゃない!程人は普通の…私の大事な息子よ!あんたなんかと一緒にしないで!!」
…なんで母さんがここまで騒いでるのに誰一人下りて来ねぇんだよ。
俺一人でこの状況を処理しろって事か?
「俺はその大事な息子とやらと同一人物なわけだが?」
「…程人は死んだの…!もう二度と生きてるあの子には会えないのよ!あんたはただの妖怪で醜い化物じゃない!」
おーう、これは母さんの知られざる一面を見てるなぁ。
俺の死を現実的に受け入れてるから…今の現実が受け入れられないのかなんなのか。
とりあえず。
「母さん…それ以上罵声を浴びせるのは止めてくれ、じゃないと俺は…
目覚めてはいけない何かに目覚めてしまう」
大人の雰囲気を纏う美女が息を荒げて睨みつけながら罵倒するって凄い!
なんだろうこの気持ち…!美女に罵られるのってなんだが知らんがクるぞ。
「はあ!?バカじゃないの!この醜い化物!」
「バカはクるが、醜いはちょっと心に刺さる」
つーかマジで誰も下りて来ない…
もうしょうがないか。
これ以上は俺は楽しくても、母さんの精神には負担がかかってしまう。
ここいらでこの茶番劇はお開きだな。
はぁ…ホントはこんな最終手段はやりたくなかったんだが…
「きゃっ!離せ!この化物!!」
掃除機から手を離して俺は母さんを抱きしめた。
「母さん、確かに俺は妖怪になった…けど…母さんの息子である事に変わりはないんだよ?」
「なにを…んっ!」
叫ぼうとした母さんの口を押さえる。
……俺の口で。
「ん…!んん…!?ん~!!」
噛まれてもお構い無しに舌を絡めた。
…実の息子が血の繋がった母親を抱きしめてディープなキスしてんだぜ?
なんかもう居た堪れねえよ…でもこれ以外手っ取り早く済ませる方法はねえし。
「ぷは…!な、なにを…!?」
「何ってチューだけど?」
「あ、あんた自分が何やってるか…!」
「まあまあ」
身体を離して両腕を掴みそのまま押し倒す。
「ちょ…!ちょっと!止めて!」
「なんで?」
「なんでって…!あっ…!」
掴んだ両腕を頭の位置に上げて左手で拘束した。
そして首筋をぺろぺろ舐める。
「いや…!止めて…!」
「なんで?」
「だって…!私たち親子じゃ…!」
「ふーん」
ニヤニヤ笑って手を離し母さんの上から退く。
「母さんもちゃんと俺の事を認識してんじゃん」
「そ、それは…」
俺は上半身を起こした母さんに再度抱きついた。
「妖怪になろうと、魔物になろうと…俺は俺だ…ソレは変わらない」
「て、いと…」
「そうそう、やっと分かったぁ?性的な事以外で母さんに危害は加えねぇよ、約束する」
「おはよー………お、お母さんが…浮気してる…」
母さんが俺を抱き締め返した所で、運悪く妹の愛梨にもっとも勘違いされやすい場面だけ目撃された。
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