17
その後。
バスタオル一枚腰に巻いてソファに寝かせた藍架をうちわで扇いでやる。
寝たのを確認して魔王城に影移動して着替えを取りに行く。
そんでもって実家に影移動で戻り藍架を部屋のベッドに運ぶ。
その時の時刻は既に3時30分。
そして外から忍者の気配が…
家の中に入って来ないよう外に出て撃退。
あ、男だったけど殺してないよ?素手でズタボロにしてやった。
たった二人で俺を殺せると思うなんざ考えが甘いにも程があるわ!
しかも…両腕とあばらを複雑骨折させた程度っていう。
帰ってもらうために脚には攻撃しなかった俺、マジヤバくね?
男相手にその対応って超優しいと思わね?
んで撃退したのが4時45分。
「…程人?」
「あ、おはよう」
「おはよう…?」
リビングに新聞紙を敷いて無名と斧を研いだり磨いたりしてると母さんが二階から下りてきた。
おっと、説明し忘れたが…
俺の実家は一軒家の二階建てだ。
二階の部屋の数はトイレも合わせて全部で7つ。
一つは空き部屋で、一つは倉庫?押し入れ?的な収納部屋らしい。
藍架と愛梨の部屋も二階にある。
後は寝室だったかな。
母さんはまだ眠いのか俺を見て目を擦っていた。
「おっと、もうこんな時間か」
「ホントに…程人…?」
「まだ寝ぼけてる?ってか母さん相変わらず美人だな」
見た目20中盤…藍架とそう変わらない歳に見える。
おそらく母さんと藍架と愛梨が街中を並んで歩いたら三姉妹と間違えられるだろうな。
「え、あ…程人から貰った薬飲んでるから…え?」
まだ頭が混乱してるのか辺りをキョロキョロと見渡している。
「あー、やっぱり?」
俺が母さんにあげたのは究極の美容薬と言っても過言ではないぐらいのやつだ。
飲み続けてると細胞が活性化して肉体が最盛期のまま保たれる、っつー効果がある。
魔王城にいる日比谷やあと一人の100%人間もソレを飲んでいたな。
だから今年60だか70になる日比谷も見た目や肉体年齢は最盛期の20代後半ぐらい。
その薬を飲み続けてる間は寿命が来ても死なないんだと。
日比谷とかが飲んでるのは魔王特製、母さんにあげたのは俺が昔研究してた物を妖怪になってから完成させた物。
3年ほど前に、この手紙が届く頃には~云々を適当に書いた紙と一緒に送った。
その薬のおかげでかなりの美熟女から、大人の魅力を纏った美女に若返るというなんともたまらん外見に。
「あー、まあなんというか……ただいま?」
「…生きてたの…?」
「いんや、生き返った」
「それって…」
「そうそう妖怪になっちまった」
二度びっくり、と言うべきか母さんは開いた口が塞がらないようだ。
そしてフラフラ~とリビングから出て行く。
ありゃま…言わない方が良かったかな?
でもどうせいつかはバレるんだし、ソレなら早い方がいいだろう。
「この…!」
あ、戻って来た…と思ったら母さんはいきなり掃除機を俺めがけて振り下ろす。
「危ないな~」
右手で軽く受け止めて掴む。
「妖怪になってまで生きるなんて…!この恥晒し!」
「ひでぇ言われよう(笑)」
「あんたなんて…!あんたなんて産まれて来なければ良かったのよ!」
「はははっ、母さん落ち着けよ」
怒りながら必死に掃除機を俺の手から取ろうとしてる母さんを見て、笑いながら宥める。
「こんな状況で落ち着いていられるわけないじゃない!」
「ホントは怖くて仕方ないのに、怒って必死に紛らわそうとしてる母さん可愛いな~」
だって、ちょっと身体が震えてるし。
「出て行きなさい!この家から出て行け!この化物が!」
「いやいや、俺だって来たくなかったんだよ…藍架に服を破かれるぐらい無理やり引っ張られて仕方なく」
なぜ母さんがこんな反応をするかというと…
その昔、何回か妖怪に襲われた事があるらしくそれが積み重なってトラウマになったとか。
そのせいで妖怪をコレでもか!と毛嫌いしている。
母さんは妖怪関連の事となると性格が180°変わるぞ。って昔父さんが言ってたが、ホントだったんだな。
こんな母さん初めて見たぜ。
父さんも昔、母さんとのデート中に妖怪から母さんを庇って大怪我した事があるらしい。
それが決め手になって母さんを落とせて結婚できたんだ!全く妖怪様々だよ!と父さんは逆に喜んでたけど…
その話を聞いた時は、あいつバカじゃねえの?って俺と藍架で話しあってた。
今なら父さんの気持ちが良く分かるぜ…っつーか、つくづく母さんは不運で父さんは幸運だよねぇ。
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