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「ぐぎゃあ!!」
…影移動しようとしたら妖怪が出てきた。
しくったーー!
街の端っことはいえ、人気が無い事を疑問に思うべきだったぜ。
正確には出てきたじゃなくて飛んで来た、だけど。
…しかもなんか妖怪の群れ(目測50体)と戦ってるのが女だし。
なんで?俺にあいつらを助けろと…?
妖怪の俺が妖怪と戦ってる人間を?
…まあ危なくなったら助けるか。
妖怪の群れを相手に2人って…そんなに強い系?
それとも増援が来るまで粘ってる的な?
「あ~!!!」
ありゃ怨霊屑か。
人の怨念の塊から生まれたとされる悪魔的妖怪。
弱いくせに数が多いんだよな…げっ、屍喰もいやがる。
人の死肉を食い漁るっつーハゲタカの妖怪版。
まあこれだけなら危なくなる事もあるまい。
俺でも素手で倒せるぐらいだし。
だって強さで言えばゴブリンぐらいだぜ?
体長が3mぐらいあろうが素手で倒せるわ。
心配して損した…このまま下に降りて影移動でもするか……ん?
…っ…!?
ふと妖怪の群れの方を見て俺は戦慄した。
き、切鬼!?しかも潰女まで…!?
うおぉ…!けちょんけちょんにされた過去の苦い思い出が蘇る…!
お、落ち着け俺。
今は大丈夫だ、今の俺が負けるわけが無い。
例え手足をもがれても今は死なないんだ。
…ふう、昔の手足がもがれそうになった事を思い出しちまった。
まあ治癒魔術…的なものを使える人が居たから後遺症もなく治ったんだけど。
はぁ…ちょい取り乱したか。
気が緩みまくってる証拠だな。
…にしても、やっぱり相手が悪い。
たった2人で切鬼と潰女+雑魚じゃジリ貧だぜ。
あ、一人が倒れた。
それを庇いながら戦ってるが…いやいや、無茶でしょ。
閃光弾でも閃光玉でも使って仲間担いで逃げろよ。
「しゃーね、行くか」
俺はタンっと屋根を蹴って妖怪の群れに向かう。
「く…!これまでか…」
「諦めんなよ」
女の子?に向かって鎌のような手を振り下ろしてる切鬼の胴を後ろから真っ二つに斬る。
「ふほっ!?懐かしや!!あの時の童やで~!!」
「おいおい、どうりで懐かしいと思ったら…」
基本的に同じ妖怪と二度会うなんて事は稀にしか無いんだが。
「あの時のように手足をもいでやろうか!」
「それがいい!!そうしようぞ~!!」
「…ふん、脅しなら効かんぜ」
ケタケタ笑う切鬼と潰女を無視して周りの雑魚を斬り殺す。
「ふほっ?我らを無視かえ?」
「あの時は片腕しかもげんかったが…今度は両手両足をもいでやろうぞ!!」
「…ふう」
息を吐いて剣を鞘に納め二体の妖怪の方を向く。
「ふぁ~」
近づいてくる妖怪を気にも留めず目を瞑りあくびをする。
「その腕!もらいうけ…っ!?」
潰女が俺に向かって手を伸ばした瞬間、身体のバネをフルに生かした七転抜刀で斬り裂いた。
「なっ…!?」
目を見開き驚いている切鬼も横に真っ二つに斬り裂く。
残念ながらこの程度では死なないのが妖怪だ。
俺と一緒で生命力、回復能力があるが…こいつらみたいなザ・妖怪は半端じゃない。
「ふほほ…!やりおっ!?」
「サッサと消えろ」
死んだ人間の念の集合体なんだから死ね、とは言えん。
切鬼と潰女の身体がボゴボゴ!!と回復してる最中に再度斬る。
「ひ、卑怯だぞ…!わらしぃ~!」
「あん?戦いに卑怯もクソもあるか、生き残りゃソレでいいんだよ」
潰女の呪詛のような…恨み言のような言葉を軽くスルーしつつ、二体の妖怪をどんどん斬り裂いていく。
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