第十期

1

「は?」


「…えーと」


「…ココ、どこ?」



目の前が一瞬真っ暗になったと思えば、周りの景色が変わっていた。



時間帯は変わらない…空は夕暮れ。



だが場所はさっきまでいた所と違う。



さっきまではいつもの公園にいたはずだ。



少なくともいつもの公園内にはこんな…港が見える場所なんて無かったような気がする。



つまり…さっきとは別の場所。



俺が影移動したわけでもなければ、影移動の能力が暴走したわけでもない。



どうやら原因は俺の目の前にいる、未だに目を丸くしている男…いや女の子?にあるようだ。



そうでなければ困る。



かなり困る。



原因不明すぎて軽くパニックに陥ってる頭がさらにパニクってしまう。



「えーと、君」


「はい!」


「男?女?」



背も低いし、見た目女の子っぽいけどな…



「ととこです!」



ととこ?ととこって何?新性別かなんかか?



俺が顎に手を当てて考えてると目の前の新性別の奴が再度口を開く。



「男です!」


「チッ」



目の前の男の言葉を聞いて蔑むように見下し舌打ちする。



男の娘かよ…つまんねえな、こういうぱっと見で性別が分からん男は死ねばいいのに。



「なにか…いけなかったですか?」



オドオドと俺の顔色を伺うように上目遣いで見るような仕草をした。



「当たり前だろ、女の見た目をした男とかなんの面白味もねぇよ」



こういうのは基本的に女の子が喚び出すって決まってんだろうが!



それが男の娘ってどうよ?結構基本から外れてんぜ…



グレーどころか性別の時点でブラックやわ。



「で?コレどういう状況?」



冷静になって考えたら確実に喚び出されたパターンじゃん。



儀式魔術か?旧時代の遺物か?それともその他か?



「えと、あの…」


「見つけたぞ!」


「アレを返してもらおうか!」



少年が言葉を詰まらせてるとなんか変な奴らの登場。



「……ああ!くそっ、使われてやがる…!」


「このガキっ!」


「も、元々は僕の祖先の物なんだ!使って何が悪い!」


「…とりあえず報告だ!ガキ、貴様覚悟しとけよ!」



変な奴らは少年と言い争った後にどっかに消えて行く。



…今のやりとり、そしてこの少年の言葉を聞いて状況をだいたい把握できた。



おそらく少年はなんらかの事情があって旧時代の遺物を使ったんだろう。



最初に困惑してた事から効果までは知らなかったと。



で、この少年や変な奴らの言葉。



明らかに東洋の…異国の言葉だ。



昔は世界一難しい言語とまで言われた言葉。



そう言われてた頃は日本語と呼ばれてたらしい。



今はなんて言ったかな~…俺もこの国にいた頃は親や周りの影響で日本語と呼んでいたが。



ま、言語の事はさておこう。



…うん。



ココ、異国だ。



しかもあの港…見覚えがある。



たしか東京湾…だったかな?



…やべぇ。



果てしなくやべぇぜ。



今は夕方だが…夜になると妖怪共が動き出す。



そうすると妖怪共を狩る忍者と呼ばれる特務部隊が動き出す。



…俺も妖怪…忍者に狩られる側。

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