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「詳しいナ…」



バンダナは驚いたように敵から目を離して俺を見た。



おいバンダナ…俺だったらその隙を突くぞ。



「まあな…これでも色々あったんだ」



当然ヴァンパイアハンターの上の奴とも面識はあるけどな。



「まさか…!そんなハズはない!」


「信じるも信じないもお前らの勝手だ、それより…運搬車を襲った奴は誰?」



そろそろ忘れそうになってきたから忘れないうちに聞いとこう。



「運搬車だと…?ワケの分からない事を」


「しらばっくれるんなら仲間が痛い目を見るぞ?」



俺は膝をへし折った奴の腕を掴んで背中に足を乗せる。



「止めろ!さっきから知らないと言ってるだろう!」


「お前らは知らなかったんだろ?じゃああいつらの誰かが知ってるんじゃないか?」



こいつの両肩を外されたくなければお前からも話すように頼めよ…と顎で示す。



「頼む!知ってる事を話してくれ!こいつは…こいつは狂っている!普通じゃないんだ!」


「そ、そう言われても…」



男の必死の懇願も虚しく、ハンター達は口を噤む。



「はっはっは、仲間を見捨てるなんて面白いな」



俺は笑いながら両手を引っ張り足に力を入れる。



「が…!うぐあああ!!!」


「「「!!?」」」



ゴキュ!!と骨の外れる音がして男の悲鳴が辺りに響き、公園内にいる人達も何事か!?とこっちを注目した。



「ま、でもコレで分かった…バンダナ、盗んだ奴はあいつだ」



男から手を離して包帯グルグル巻きの隣に立っている男を指差す。



「本当カ?」


「ああ、あいつだけが特に関心を示してない目で見ていたから間違いない」



他の奴らが信じられない…!的な目をしてたから分かりやすかったぜ。



「…良く見てるナ」


「弱者が生き残るためには鋭い観察力は必須だろ?」



戦いでは視界に入る情報全てを活かすってのが鉄則だしな。



「…何を言ってるのか分からんな、証拠でもあるのか?」


「もウそのセリフが証拠だゼ」


「本当に知らないならその女の子達みたいに不思議そうな顔をするしな」



そんなしらばっくれた表情をしてる時点で犯人確定だろ。



「…本当に…?」


「あの人達が言ってる事は本当なの!?」


「…おいおい、敵の言うこと真に受けて俺を疑うのか?」


「別に俺は敵のつもりなどないんだが?」



お前らが勝手に敵対して敵視してるだけだろうが。



「ははっ、アイツ…如何にモ俺が犯人ですってセリフを言ってるゾ」


「こういう場面ではムダだと思うけど、一応忠告ぐらいはしておくか」



お前が盗んだモノは一度打ち込めば抑制剤が無い限りもう人間の姿には戻れない。



あ、運が良ければ一回ぐらいは人間の姿に戻れるかもしれんけど。



通常は魔物の細胞に侵食されてそのまま魔物みたいな姿形になる。



そして魔物ばりの力が手に入る代わりに自我が飲み込まれ、精神もモノホンの魔物に変化してしまう。



「とりあえず…その男から離れた方がいいと思うよ」



おそらくソレを使うのは自分以外…抑制剤が手に入らなかったから、仲間を犠牲にする気だ。



「手っ取り早いノはその包帯グルグル男だナ」


「っ…!?」


「バレちゃあしょうがねえ!!」



男は俺らの予想通り、女の子の肩から包帯男を奪いポケットから新型の注射器を取り出した。



普通の注射器は細長い針だが、新型のは針が細短い。



体内で針が折れる確率を限りなくゼロに近くしたタイプで、更に中の液体を素早く体内に入れるため圧縮技術が使われている。



横側のボタンをプシュっと押すと約一秒で中の液体が体内に注入される仕組みだ。



リザリー達が俺に良く使ってるのはコレの高性能タイプだけど。



形を伝えるとしたら近未来的なアレ…かな?



「動くな!一歩でも動くと射つぞ!」


「ホラな、俺が言った通りだろ?」


「回収は諦めルしかないカ…」



俺とバンダナは男の脅しを全く意に返さず話す。

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