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「あ、お客様が増えて来たので私はこれで」
「わざわざこんな変な野郎二人に付き合ってくれてありがと」
「いえいえ!私も楽しかったです!」
ウェイトレスは笑顔で頭を下げる。
「コレ、金で悪いけど感謝の気持ちとしてのお礼」
俺はポーチから札束を取り出してウェイトレスに差し出す。
「え!!いいんですか…!?」
「ん、金は天下の回りものって言うだろ?俺で止めるわけにはいかないから、貰って使ってくれたら助かる」
「ソレって…100万の束じゃないカ?」
「知らん、俺にとってはどうでもいい…つーわけで、はい」
「あ、ありがとうございます!!」
ウェイトレスのおねーさんは札束を受け取ると凄い勢いで頭を下げて走って行った。
「感謝の気持ちで金を渡すってなーんか下賤な気がしてならんなぁ…金でなんでも解決できる!みたいに」
「ハハッ、youは全くソんな気は無かったダろう?あの娘もソレが分かってタから、受け取ったんダと思うゼ」
さテ…そろそろお開きだナ。とバンダナは立ち上がる。
「あア…俺の連絡先はコレだ、何か情報が分かっタら知らせてくレ」
「いや、その必要はない」
俺は差し出された名刺を受け取らずに首を振った。
そして一拍置いてこう告げる。
「だって俺がお前の探してる村人Bだし」
「ハ…?」
バンダナは俺の言ってる事を理解できなかったのかポカーンと口が半開きになった。
「何の用で俺を探してたワケ?」
「い、イやいや…本当ナのカ?」
「信じないんなら別にいい、無駄に時間かけてそいつを探しとけ」
ガタ、とイスを引いて立ち上がりレジへと歩く。
一ヶ月ぐらい探し続けた結果、俺に行き当たったら面白いけど。
その間の時間も金も努力?も全て水の泡やぜ。
「いや、信じルよ…確かにyouの見た目はどこニでも居る一般人ダ、あのコロシアムを見てたガ今でも少し疑問に思うしナ」
バンダナは焦ったように追いかけてきて俺の肩に手を置いて引き止めようとする。
「疑って悪かっタ、俺の話を聞イくレ」
振り向くとバンダナが90°のお辞儀をするように頭を下げた。
「チッ、しょうがねぇな」
俺は舌打ちしてダルそうにさっき座ってた席に向かう。
「実は…ヴァンパイアハンターを探しテいル」
「…なんでまた」
「ハンターの中に、研究所から研究所への運搬途中の車からアる薬を盗んだ奴がいるらしイ」
「ある薬…?ヴァンパイアハンターが?」
王道的な肉体改造のための薬ならどっかの科学者が提供してるだろうに…
一体なんの薬を盗んだんだよ。
「人魔融合細胞、と呼ばれル…ヤバいシロモノだト」
……は?ちょっと待てぇ、なんかソレどっかで聞いた事あるぞ。
「待て待て、村人Bの情報は誰から聞いた?」
「悪いナ、情報主の事は守秘義務で教えナいと自分ルールで決めてるんダ」
そうか…なら協力できん、と言ってイスから立ち上がる。
「ナ…!頼む、協力してくレ!」
バンダナが俺の前に立ち塞がるように手を広げた。
「お前の態度次第だ、協力して欲しければ俺が聞いた事は隠さず全て話せ」
その上で協力するか否か決めてやる。
どけ、とバンダナの肩を押して通ろうとするが中々動かない。
「…分かっタ、俺の主義には反するガ…聞かレた事にハちゃんと答えよウ」
「最初っからそうしとけや、で?誰から聞いた」
「アイリス・ミッシピノ…と言う女ダ」
「チッ……やっぱりか」
舌打ちをしてため息を吐くように言う。
「まさカ…知り合いなのカ…?」
「まあ…」
ポーチから小型無線機を取り出してリザリーに電話をかける。
「もしもし?珍しいわね、あんたからかけてくるなんて」
「ああ、急にお前の声が聞きたくなってな」
直ぐに電話に出たリザリーの声が心なしか嬉しそうなトーンだったので、おそらく喜びそうな事を言った。
「え、うそ…///え?///」
誰しも不意打ちには弱いものである、リザリーも例に漏れず。
いつもそんな事を言わないキャラからの突然の一言だ。
凛とした感じの声や対応じゃなく…いかにも女の子らしい感じになってる。
…この前再会した時は八つ当たりや暴力、暴言が凄かったが最近はそうでもないな。
俺が慣れてきたのか、あいつが落ち着いてきたのか、それとも…もういつでも会えるって安心したのか。
まあ俺からしたら暴力が無くなってきてるのは良い傾向だと思うよ。
「…!もしかして…程人、あんた死ぬの…?」
「死亡フラグを立てたわけじゃねぇよ!マジで死んだらどうすんだ…」
暴言や俺を精神的に傷つけるのは相変わらずだねぇ。
だって不安そうな…心配したようなトーンじゃなく、普通に疑問に思ってるようなトーンだぜ。
しかも最初に、閃いた!みたいな感じで。
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