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電話してるとバンダナがよく分からなそうな顔をしていた。
「えーと、名前なんだっけ?」
「リチャードだ」
「ああ、だったな…お前リチャードって言う名前のバンダナを知ってるか?」
「名前聞いてもバンダナかヨ」
笑いながらのツッコミを軽く無視してリザリーに聞く。
「ああ、そういう事…今回はしてやられたわね」
「いつものお返しだ」
一拍置いて笑ったように言われたため俺も笑いながら返した。
「詳しくは聞いたでしょ?運良く…と言うべきか一週間ぐらい前からこの商業大陸に来てるらしいわ」
「知ってる、あの公園での出来事…アレはハンターとだったからな」
「…そう、なんて言うかアレね…凄い運が悪いと言うかなんと言うか」
「いまさら同情されても…」
色々とアレなんだよなー、巻き込まれ体質では無いんだけど…なんて言うか…不幸じゃなく、不運なだけ的な感じ?
ヴァンパイアと関わらなかったら、ハンターとは関わってないし…
リザリー達と関わってなければ人魔融合細胞なんて完成しなかった。
そもそもコロシアムでこいつと知り合ってなければ今のこの状況になる事も無かったワケで。
色んな点に線を引かれる事によって絡まり合う…みたいな。
俺は普通の人より半端なく点が多い分、一旦線が引かれたら端っこの方でも引っかかるんだよ。
で、結局関わる事になる。
今みたいに。
リザリー達もソレが分かってるからなのか…たまにこんな風に同情したような言葉を言う。
「つーかなんでこんな回りくどい事をしてんだよ、昨日直接言えば良かったんじゃね?」
「…!もしかして、その電話の相手は…アイリス・ミッシピノ…!?」
「私はそのバンダナの人に聞かれたから教えただけよ、アレを奪られたのはあっちの研究所の失態だし」
「奪られたのはアレだけか?」
驚いて目を見開いてるバンダナは当然シカトして横を向く。
「当然でしょ、抑制剤は奪られたら大変だもの…私達以外が運ぶわけないじゃない」
「…そうか、分かった。ありがとな」
俺は電話を切ってイスに深く腰掛けて上を向く。
だからか…抑制剤が奪われてないから後始末を他人を任せてるわけね。
まあ人魔融合細胞だけならあってもしょうがないだろ。
アレを使ったら一回でも人間に戻れるかどうかすら怪しい。
この前リザリーを攫ったあいつらがそうだったように。
あの時は一回だけ元に戻れたんだっけ?
ぶっちゃけ人の研究の成果で完成した物を目的に人を誘拐するなんて結構不愉快なんだけど。
つーかなんで人魔融合細胞を奪ったんだ?
普通にそこらへんの研究所から魔物の細胞を貰えばよかったのに。
…そのあたりは本人たちに聞いて見れば分かる事か。
「お前の目的はハンターからアレを取り返す事か?」
「あア」
「うーん…取り返すのは難しいんじゃないか?こういうのは敵を追い詰めたら最後の手段として使うだろ?」
元々俺の目的はハンターにお帰りいただく事だし。
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