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「ん?今の言い方だと結構入り浸ってるように聞こえるぞ」
「まアな、実は二週間前から滞在していル」
バンダナの男はチリン、とベルを鳴らして店員を呼び飲み物と軽食を注文する。
ついでに俺もジュースを注文した。
「自己紹介がまダだったナ…俺の名はリチャード・ラナ・エルグリズ、コロシアムでは猛将グリーズと言う名で登録してタ」
「んー、聞いた事あるような…無いような」
「予選で魔物に負けテ直ぐ脱落さ、ピエロに上から忠告しテおいて自分がそんな様じゃ情けなイぜ」
相手をナメないで重りぐらイ外して戦うべきだっタ…と自虐的に笑う。
「ああ!忠告で思い出した!あの時実況に要らん事チクったバンダナじゃねえか!」
「ソレは覚えてルんだナ…まア思い出してくれタならいいカ」
つーか変になまってる喋り方ですぐに気づくべきだった。
こいつの喋り方は中々特徴があるのに。
「…俺に何の用だ?つーか良く気付いたな」
あの時は茶髪のウイッグと薄化粧して軽く変装してたはずだが。
「さっき行っタだろ?俺には人を見る眼が養われテるのサ」
「うーん…別に気付かれても問題は無いが」
「本題に入ろウ、実は人を探していてナ…ユニオン出身のyouならユニオンに多少の知り合イは居るだろウ?」
「人探しを手伝えと?面倒だな…」
「そこまで急を要しテるってワケじゃなイんダ、情報を伝えルだけでも頼むヨ」
もしかしタら誰かがふトした事や何処かで情報を手に入れルかもしれないシ…と言って手を合わせる。
「まあいいか、ただし期待はするなよ?」
「あア、ラジオを聞くようナものダ…恩にきル」
「で?探してる奴の情報は?」
「ある筋からの情報デ、名前しか知らなイ…確か一般人みたい。と言ってたナ」
ふーん…一般人ねぇ…まあ一般人って言っても、最初から最期まで一般人!じゃあないんだろう。
「名前だけか…見つかる可能性はかなり低くね?」
「ダから少しでも情報網を広げたくてナ…」
「確かに…んで名前は?」
「村人B、と言うらしイ」
「………は?」
俺はたっぷり5秒ほどの間を空けて聞き返す。
「疑うのも無理はなイ…が、村人Bと言ウ名前ダと聞いたんダ」
…え??なにこの偶然…いや、運命ってのは既に決まってるもんだから偶然じゃなくて必然か。
おーう、流石の俺でもコレは反応に困るぜぇ…
「お待たせしましたー」
微妙な空気が流れてる中、ウェイトレスさんがニコニコ笑顔で飲み物やらを運んで来てくれた。
「以上でよろしかったですか?」
「え、はい…あの、今は忙しい?」
「いえ全然!暇すぎて困ってます」
「あー…じゃあ暇な間だけでいいんで、こっちかそっちのイスに座ってもらえないですか?絵面的に野郎の二人っきりはちょっと…」
ナンパまがいの事を言いながら俺とバンダナの隣、空いているイスを指差す。
ウェイトレスのおねーさんは、喜んで!とわざわざ俺の隣のイスに座ってくれた。
その後、誰も何も喋らない雰囲気が5分ほど流れる。
「あの、お仕事の方は何をなされてるんですか?」
そんな雰囲気を特に気にせずにウェイトレスが質問した。
「ン?俺は請負人とイう…いわゆル何でも屋みたイなものダ」
「へえ~、こちらの方は学生さんですか?」
「いや、俺はただの放浪ニートだ」
「え」
ウェイトレスはしまった…みたいな顔をして気まずそうに笑う。
「ありゃ、気をつかわせてゴメン…今は、が抜けてたね」
「あ、学生の方では無いんですよね?」
「ん」
雰囲気を暗くさせまいと、そうなんですか!と明るくする。
…凄えウェイトレスだな、コミュ力がかなり高ぇ。
話しててちょっと楽しいし。
「あの…失礼だと思いますが、請負人ってご職業はやっぱり稼ぐんですか?」
「まア…一気に稼ぐ時もアればそうでモない時もあル、まア結構危険な依頼もいくつかあルし普通の10倍ぐラいの年収はイくかもナ」
「へえー、凄いですね!」
ウェイトレスは目をキラキラさせた感じでバンダナを見た。
「結構稼ぐんだな」
「youには負けルけどナ、あの開催期間中の一週間ちょっとデ30億以上稼いダと聞いたガ?」
「ええ!?一週間で30億!?」
「俺の手元には一銭も入ってねえよ…全部知り合いに取られた」
別に金が欲しかったワケじゃねえし、と俺はジュースを飲む。
「30億も取られて気にしてないなんて…」
「そう言えバ、一服盛られテも気にせず許しタって本当カ?」
「ああ…大した効果は無かったから」
「youは将来絶対に大物になるナ」
「私もそう思います!」
そうか?と返すと、そうだ!と二人に笑われた。
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