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「んあ、やっぱり合体する時はスカート履いて」
「…わかった」
「あっと…血だらけの手は拭けな」
男にパンツ以外を脱がして傷薬を塗ってる女の子に備え付けのウェットティッシュの箱を投げる。
…いやいや、あの傷薬がいくら効果抜群だからってさ。
もう血が止まりかけてるってヤバくね?
流石はヴァンパイアハンターだ…肉体をあちこちいじってんなぁ。
人体の回復、治癒機能を底上げしてやがる。
後は脳のリミッターを外して筋力の増強って所か?
無茶な力を出して筋肉が傷ついたとしても回復、治癒機能が底上げされてるから直ぐに治るし。
だがこれは…リザリーやマキナ、エルーのようなもんじゃない。
あいつらのは栄養を糧にする方法だが、こいつらのは寿命を糧に力を生み出す方法だ。
人間の限界を超えた力を簡単に手に入れられる代わりに寿命が減るっていう王道的な感じ。
魔力が無い人間が魔力持ちと対等に戦うための苦肉の策。
「…なんてこった」
「……!…んっ…///」
俺が男の裸を見て冷静に分析してると女の子が涙を流しながら男に跨る。
残念ながらスカートを履いてるため、ただ上に座ってるようにしか見えない。
合体してるのかどうか全っ然分からねえ。
妹が兄にイタズラしてるように見えるんだが。
見た目はロリーで貧乳のあげくに上は下着で下はスカートの女の子がパンツ一丁の気絶してる男の上に座ってるだけ。
…なーんかこの場面だけだと使い古されてそうな感じ。
「ん…はぁ…!これ、で…いい… ?」
「十分だ、ほれ包帯」
「ここか!!」
ジャストタイミング。
俺が包帯を投げて立ち上がり、薙刀と剣を両手に持って見下すように見ると誰かがドアをバン!と開けた。
女の子は包帯を手に屈辱的な表情を浮かべ唇を軽く噛んでいて少し涙を流している。
「おっと、いくら俺でも多勢に無勢か」
カランカラン!と剣と薙刀をその場に落とし笑いながらダッシュで窓から逃げた。
「さて…とりあえずあの女の子が仲間に責められるっつー事はないだろ」
あんな状況だったら十中八九男の方が責められるハズだ。
意気揚揚と攻めておいてズタボロで負けた挙句に仲間が敵の良いようにされてるんだ。
死んでるならまだしも敵に情けをかけられて生き延びて…しかもこれで二回目。
はぁ…今度攻めてくる時はハンター仲間全員で来るだろうな。
それか罠を仕掛けてその場所に誘き寄せるor追い詰める。
…もう男は殺して女だけでもお帰り願おうかな?
うーん…………まあそれはその時になったら考えればいいか。
ヴァンパイアハンターは微妙なんだよなぁ。
生かして置いたらほんの少しぐらいはバランスが取れる。
…とは言え殺しても全然バランスには影響が無いんだよね。
数値にしたら+0.003ぐらい。
ぶっちゃけ生かしても殺してもどっちでもいい。
だから悩む。
いつもは、こいつは生かしておいた方が良い!って直勘的に感じるからソレ以外は殺してるんだけど…
こんな後ろ髪引かれるような…頭の片隅に引っかかるような感覚は嫌なんだ。
どっちつかずの中途半端でもどかしいってゆうか。
「ン…?ア、そこのyou、もしかシて道化師のピエロか…?」
考え事をしながら街中を歩いてるとすれ違ったバンダナの男に肩を掴まれた。
「ん?違うけど」
「そうカ…似てタんだがナ…youはこの前ローバスのコロシアムに参加してナかったカ?」
「あー、出てた…そういやその時は道化師のピエロで参加してたっけ」
懐かしいな、もう何ヶ月前になるか…ふう時間の流れは早く感じるぜ。
「やっぱりカ!俺は人を見る眼だけは良いト自負してルんダ」
ちょっと話がアる、ソコの喫茶店に入らないカ?とバンダナの男は店を指差す。
「遠慮する、お前が誰か知らんし」
まず野郎と二人っきりで喫茶店とか痛いし、と断る。
「あア、そうカ…じゃア自己紹介もしたイから少しダけでも頼ム」
「ええー…うーん、そこの喫茶店に可愛い娘がいるんならいいけど」
「ハハッ、じゃア確かめに来てくれ…俺は容姿レベルが高めダと思ってるガ」
一応行くだけ行ってみるか…とバンダナの男の後ろからついて行く。
「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
店に入ると可愛いウェイトレスの女の子が挨拶しながら近づいてきた。
「二名で」
「かしこまりました!ではこちらにどうぞ」
案内してくれるがままついて行きイスに座る。
「ご注文がお決まりになりましたら、こちらのベルでお呼び下さい…ではごゆっくり」
ニコニコとした笑顔で説明して歩いて行った。
「おお…この店、店員のレベル高ぇ」
「店員の接客態度と笑顔ガ気に入ってるんダ」
確かに…わざわざウェイトレスが席まで案内してくれるなんてそうないからな。
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