26
「…これで…いい…!?」
「おう」
「ぐあっ!!」
カランカランと俺の足元に投げられた薙刀を拾って男の右足ごと床にぶっ刺す。
「何を…!」
「万が一の為の保険?」
両腕は使えないにしても脚で攻撃される可能性もあるからな。
念のため床に縫い付けておかないと。
「う、ぐ…!うぅ…!」
男の両腕と右足から血が滴り床に血溜りができている。
「さてさて、なんで俺を追い回してのか理由が知りたいな」
「…本当に、覚えてないの…!?」
「お前ら頭が残念過ぎるぜ、俺は覚えてないって十何回言ったと思う?正直ストレス溜まるんだよ」
「っぐあ!!」
壁に刺さってる剣を抜いて男の左太ももごと床にぶっ刺した。
「これ以上は止めて…!!」
「俺をイラつかせたのはお前らなんだから自業自得っつーやつだな」
最初から理由を話しておけばこんな事にもならなかっただろうに…バカは損だねぇ。
俺は剣を鞘に納めて男の左肩に足をかける。
「俺の質問に答えなければこいつの左肩を外す、何故を俺を襲ったんだ?」
「もう止めて…!」
女の子が目に涙を浮かべ叫んだ瞬間、足に力を入れたらゴキュ!と関節の外れる音が響いた。
「っ!ああああ!!」
「さっさと答えないと右肩も外しちゃうよ~?」
「言う…!言うからチサトから離れて…!」
「はいよ…」
ズッ…と男の両脚から薙刀と剣を引き抜いて離れる。
すると女の子が凄い勢いで男に近づいた。
…別に武器は取り上げたからいいんだけどさ。
「…3日前の夜…今と似たような状況になった…」
「3日前の夜?…うーむ、ヴァンパイアと戦った時か…?」
アレは戦いと言うよりも罠を仕掛けてたから、結構一方的だったような気もする。
「…あなたがヴァンパイアを倒しかけた時、私たちがチャンスだと思い襲いかかった…」
「!あー、あー…思い出した!そう言えば…へー、あの時のロリーな女の子」
へぇ…あの時の女の子がまさか薙刀をぶった斬ったのと同じ女の子だったとはなぁ。
「…返り討ちにあい、私はあなたに服を脱ぐ事を強要された…!その時の屈辱は、絶対に忘れない…!」
「でも逃がしてやったじゃねえか、しかもその後甘々な雰囲気でベッドインしたんだろ?」
「そ、それは……///」
女の子は顔を赤らめて言葉に詰まった。
「うーん…まあ納得したかな?じゃあ今度はその男を脱がしてもらおうか?」
「え…?」
「ホラよ、今この傷薬を塗ればまだ助かるかもよ」
俺はポーチから使いかけの傷薬を出して女の子に投げる。
「なんで…?」
「俺は敵であれ女の子には優しい紳士なんで、ついでにココに包帯もあるが」
早く塗らないと手遅れになるぞ?と忠告したら、ハッとして男に傷薬を塗り始めた。
「包帯が欲しけりゃ全裸になってその男と合体しな」
「そんな事…!」
「俺は別に男なんて殺しても構わないんだ、優しくするのは女のみ」
女の子は少し考えると右手で傷薬を塗りながら躊躇いがちに左手で服を脱ぎ始める。
さて…こいつらの仲間は合体する前にこの宿屋に辿り着けるかな?
俺の直勘ではこの部屋に来るのがおよそ5分後。
目の前の女の子が時間を稼げば間に合うかもな。
ベッドに腰掛けながら女の子の行動を見る。
「ああ、一応伝えておくか…お前の仲間がこの部屋に向かって来てるからさ」
「え…!?」
スカートを脱いで下着の状態になった直後、身体が硬直した。
「ほらほら、早く男の服を脱がせよ」
肩を外した時点で男は意識を失ってたので女の子が脱がしても全然抵抗しない。
「うっ…なんで、こんな事…」
「見てて楽しいからに決まってるじゃん、嫌ならそいつ見捨てて逃げれば?」
そいつは死ぬが君は逃げ切れるんだから…と伝えたら首を横に振られる。
「…私が、犠牲になって助かるんなら…」
「ぶっちゃけ敵に回す相手を間違えた感はあるだろ?変態性では異常の部類だと思うし」
この光景を見ても性的興奮はあまりしないが…楽しいという意味合いでの興奮はする。
女の子が敵に強要され、屈辱を味わいながら嫌々変態的行為をするっていうこの状況にな。
普通と違った異常な状況を、雰囲気を、その空間を自分で作りだしてる事が楽しくてしょうがない。
「ああ、なんで悲鳴や物音がしても宿屋の主人や他の宿泊客が見に来ないか分かる?」
俺の言葉にフルフルと不思議そうな顔で首を振る。
「前以て昨日のうちに伝えてあるんだよ、誰かに追われてるんで…と」
主人には口止め、不干渉料として多めに払ってるし。
宿屋は基本的にワケありの人や旅人が泊まる施設だから…暗黙の了解的なところがあったりするんだよ。
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