25
「くあ~…」
「見つけたぞ!こんどこそ!」
「しつこいなぁ」
宿屋の部屋のドアをバン!と強く開けてハンター?の男が飛び込んできた。
あのあと研究所から出て宿屋を探してると運悪く治安部隊に連行されていた、あの男女に見つかり追いかけられる…という事態に。
当然治安部隊を振り切ったわけだからあの二人も治安部隊に追われている。
治安部隊に追われるヴァンパイアハンター?らしき二人組の男女に追われる俺。
宿屋にチェックインするたびになぜか居場所がバレて部屋にまで乗り込んでくる。
そのおかげでこれで4度目。
昨日だけで宿屋三軒分の金を無駄にした。
だけど今回はバレるまでに時間がかかってたかな?
夜に寝てさっき起きたばっかだし。
「じゃあな」
「待て!!」
「…今度こそ…逃がさない…!」
宿の料金は前払いで払ってるため、窓から逃げ出そうとしたら外に女の子が薙刀を構えて立っている。
「なんでそこまでしてしつこく追ってくるんかねー」
挟み撃ちされた俺は観念したように両手を上にあげた。
「貴様…本当に覚えていないのか!?」
「心当たりが星の数ほどあるんだからいちいち覚えてねえし、それに人違いだったらどうすんだよ」
「そんなハズはない…その顔、ハッキリと覚えている…!」
女の子がジャンプして窓から部屋に入ってくる。
「この前…!俺たちにした事を覚えてないと言うのか!」
「お前のそのボキャブラリーはマジで無いわ」
どんだけ国語力が低いんだ…もっと勉強しろよ。
「…一週間前、私の薙刀を斬った事も覚えてないの…?」
「薙刀?…あーはいはい…へー、あの時の女の子だったんだ?」
一応顔は合わせてたわけね。
…アレ?でもあれは歩く邪魔をしたから薙刀を斬っただけだろ?
それだけの事で男と協力してここまでしつこく追ってくるほどか?
人目を気にしないで、治安部隊を振り切ってまで、俺に襲いかかる理由にしたら薄くね?
「あの夜の事、思い出した…?」
「薙刀を斬ったぐらいで襲いかかって来るとか…そんなに大事だったの?」
あんな直ぐに斬れるほどのモロい薙刀を大切してたとは思えないけどな。
「それだけじゃない…!貴方は…!」
女の子は怒気を孕ませた声で俺を睨む。
「それだけじゃない?」
他になんかあったっけ?…うーん、思い出せない。
「もういい、これ以上は話しても無駄だ」
「覚えてもない事でやられるぐらいなら…俺も抵抗しちゃおうかな?」
俺は手を下げて剣に手をかける。
「死ね!」
「…!」
男と女の子が剣と薙刀を振るった。
右手で剣を抜いて男の剣を受け止め、左手で鞘を掴み女の子の薙刀を受け止める。
俺の最高傑作たる剣や刀の鞘は刀身と同じく尋常ならざる素材で出来てるんだ…
お前らごときの腕じゃ傷一つ付けられねえよ。
「「な…!」」
「ほいよ…っと」
「がふっ!」
ギン!と両方の武器を弾き男の脇腹に後ろ回し蹴りを食らわせて壁にぶつける。
いやー、やっぱりただの回し蹴りよりは遠心力がある分威力が高いような気がするよね。
「ぐ…!」
「あっ…!」
俺は素早く無名で男の右腕を刺す。
「ぐあっ!」
痛みで離した剣を拾いソレで左腕ごと壁に突き刺して軽く拘束した。
おっと、俺の剣は抜いて男の服で血を拭いたよ?
壁に刺さってるのは左腕だけ。
「変な動きをすると首を刎ねるから」
ガクッと地面に左膝を着いた男の首に剣を当てる。
「…っ…!」
「その薙刀をこっちに投げて…ああ、俺に刺そうとしても無駄だよ?」
たかだか5mしか離れてないんだから簡単に避けれるし、まず一回刺さったぐらいじゃ死なん。
そもそも当たる前に男の首がスパーンだ。
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