02

「まあいいわ話を戻しましょう」


「乙女が処女を好きな人に捧げたとしても…その人と両想いになれるとは限らないけどね」


「どうせ痛いのならば、いっそのこと初めては友達にあげた方が良いと思うの」


「好きな人との初めてが痛いなんて嫌だよね~、私は好きな人とヤるなら気持ち良い方が幸せだと思うよ」


「男友達に、十分に感じる身体に開発してもらうとかね」



こいつら…!なんて夢も希望もないことを言うんだ!



確かにその方が現実的だけども!



「男も、童貞を捨てる場合は経験のある人から手ほどきして貰った方が気持ち良いんじゃないかしら?」


「処女で技術のある乙女なんて稀だしね~、しかも痛がってる顔になるし…初めてがソレじゃ萎えるかトラウマになるんじゃない?」



確かに、コッチは気持ち良いのに相手が痛がってたらなんも楽しくないな…しかも喘ぎ声じゃなくて痛みを堪える声だろ?



…相手の女がそんな状態じゃ萎えるかも。



「それともあんたはアブノーマルな趣味でもあるの?」


「嫌がって痛がってる顔と声で興奮するとか」


「んな趣味ねえよ、例えレ○プになろうとも女の子が合意しない限りは本番なんてするか」



挿入はしないが前戯ぐらいだったら拒否られてもやるけど。



「私達はあんたにならヤられてもいいと思ってるわよ」


「でも、程人君は自分からは手を出さないようにしてるよね?」


「…怖いんだよ」


「「怖い?」」



しまった!ついポロっと本音が零れた…



くそっ…!どうにかしてゴマかさないと。



「お前らに嫌われないかと…内心いつも不安だったんだ…!」

「「絶対うそ」」



前屈みになって手を組み額に当てて悔しそうに言うと即答で返される。



「…なんでだよ」


「あんたがそんなヘタレなわけないじゃない」


「うん、キャラ的にありえないよ」


「言いたくないんなら無理にとは言わないから、その合わないヘタレキャラは止めて」



雰囲気に合った言葉をチョイスしたハズなのに散々な言われようだった。



「つーか俺が言わなくてもお前らなら分かってるだろ」



なぜ俺の方から手を出さないのか、を。



俺はソファに体重を預けるようにして背凭れる。



「まあ大体は察してるけど」


「うん、大体察しはつくよね」


「だったら聞くなよ」



俺が手を出さない理由はただ一つ。



俺が魔物として暴走しないため…だ。



確率は低いが、それでも性交を行う事によって俺の自我が本能に飲み込まれたら困る。



本能に飲み込まれる=理性の崩壊。



理性の崩壊=今まで溜め込んで感情の暴走。



相手が普通の人との性交なら問題ないと思うが……こいつらだったらヤバい。



気が知れてる間柄だからこそ、気づかいや手加減といった制御が効かなくなるはず。



お互いに求めるまま、本能のままにどこまでも堕ちて行きそうな気がする。



だからまだ今は手を出せない。



暴走を制御できる方法として最後のピースであるアレが手に入るまでは。



その時まで俺は、地獄のような…悶々とした生殺しの禁欲生活をずっと送らねばならないんだ!!…ぐすっ。



ヤバい…目からなんか水みたいなのが流れてきそう。



「…あ、泣いてる」


「泣いてなんかねぇ、自然に涙が零れたんだ」


「よしよし…もう大丈夫よ、心配要らないわ」



リザリーは俺を胸に抱き込むように引き寄せ頭を撫でた。



「う…うぅ…リザリー…!ぐすっ…うわーん!…て、なんでやねん」


「おお、ノリツッコミ」


「離せ、お前の胸が顔に当たってんだよ」


「当ててんのよ、ほら…舐めなさい」



リザリーはまるで女王様が下僕に靴を舐めさせるような見下しドSトーンで俺に命令する。



「ソレなんてご褒美だよ、でも拒否する」


「あんたに拒否権は無いわ…マキナ、アレ取って」


「んむ?ちゅぶっ……ぷはっ…はい」


「!!?いつの間にか脱がされてる!?」



気づいたら…もうホントに気づいたらマキナに俺のがしゃぶられていた。



「マキナ止めろ!離れろ!」


「ゴメンね?結局私達も自分の事しか考えてないの」


「疼いた身体を鎮めるためには仕方ないわ…それにもう我慢できなさそうだし」


「てめ…!最初っからそのつもりで…!」



リザリーはニタリと笑うとプシュ!と俺の首筋にナニカを打ちこむ。



「超即効性で持続力も申し分なし、そして副作用は無いから安心して」


「ぐ…!てめえら…本番したら、覚えろよ…!」


「大丈夫、大丈夫…多分、素股だけだから安心して寝ててよ」



その弾みで中に入ったとしても不可抗力だから仕方ないよね?と言う微かに聞こえた言葉を最後に俺は意識を手放した。



※音声レコーダーに録音されてたその後の会話の一部。(聞いてる最中に見つかって叩き壊された)




「…寝た?」


「多分」


「ホントは起きてる最中がいいんだけどね~」


「しょうがないわよ…昔みたいになったら困るし」


「…アレは、んむ…へいほふんの、記憶には…ちゅぶ…ないみたいだし」


「んっ…相変わらず寝てるくせに舌は上手いわね…はっ…!おそらく…アレは無意識だったんでしょ?んん!」


「ぷはっ…ヤバかったよね?何回…きぜ…したっけ?」


「ん~…私とショコラは4、5かい…!ね…!」


「んむ………わはひもそれふらいはな?ちゅ…さすがに11時間れんぞ…」



…あ!ちょっ!……なんで壊すんだよ…はあ?いつ?この前だよ、あ?嘘つけ…そんな顔…危な!待て、それはヤバ…!わ、分かった!一旦話し合おう!(レコーダーを破壊された時の一部始終)

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