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「でも、じゃあ彼氏とはどうなんだよ…そういえばお前ら彼氏取っ替え引っ替えだけど、もしかしてヤりまくり?」


「え?…私は彼氏と本番までシたことないな~」


「…同じく、本番は一度も無いわ」


「マジで!?なんで!?」



何気なく聞いた質問に予想外の返答。



「流石に一度もさせないってのは…」


「だっていつも口だけで終わっちゃうし」


「そうね…口で二回ぐらいイかせたら終わりよ」


「あ、私も!それも直ぐイっちゃうよね!」



なんか彼氏との夜の営み?と呼べるのか分からない行為の話で二人は盛り上がっている。



「おいエルー、そんなに凄いのか?」


「ヤバいな…頑張って耐えても20分が限界だ」


「なんでそんなに技術が高いんだよ」


「…ある人をイかすために頑張って磨いてたのよ」


「だよね、今でも早くて30分ぐらいかかるけど」



元カレとかは5分も持たないで達しちゃうのにね。と不思議そうに呟いた。



「エルーでも20分なのにそれ以上耐える奴がいるのか…」


「でも最初の頃は全然だったよね?」


「ええ、最低でも一時間はかかってたわ」


「それで彼氏に口でシた時、早すぎてビックリした」


「私もよ、二回連続で絞ったら直ぐに萎えてもう終わり」



二人は元だか現だかの彼氏の愚痴?的な事を言い合う。



「出る量も少なくて、私は必ずティッシュに出してるよ」


「やっぱりエルーとか……みたいにいっぱい出してくれないと飲みごたえがないわよね」


「…そんなに?」


「違う、搾り取られるんだ」



チラッとエルーを見ると真剣な顔で首を振る。



「飲み込むように喉の奥まで咥えての吸い込みだ…二回だけあまりの気持ちよさに本当に昇天しかけた」


「あー、あったね…ガクガク小刻みに痙攣して危うく白目になりかけてた時」


「私の時もあったわ、確か…連続三回目に出した時だったかしら」


「男で…しかも我慢強いエルーでも…?お前らその技だけで稼げるんじゃねえか?」



聞いてるだけでなんか違った恐怖心が湧いてくるんだが。



「でもある人は凄いよね!」


「ええ、量も硬さも大きさも持続力も…二回目であれはありえないわ」


「二回目からが本番だ!みたいな感じだもん」


「夜から朝まで一晩ヤってもまだ持つなんて…驚異的以外の表現が見つからない」


「そんなヤバいのか…どんな奴か見てみたいな」



こいつらの口の技術をもってしても早くて30分?



しかも男のシンボルがほぼパーフェクトで絶倫に近いとか…



どんな男なんだろう…まさか、俺とか?



…妖怪なんだからありえない事はないが、もし俺だったら『ある人』って言い方はしないよな。



エルーの事は普通に言ってるんだから。



「ん~…程人君が会うのは無理だと思う」


「まず女にしか興味ないんだから、その時点で見るのも無理でしょう」


「確かに」



リザリーの言葉に俺は深く頷いてしまった。



「テイト、勘違いするなよ…こいつらは上の口よりも下の口の方が気持ちいいんだ」



こいつ…真面目な顔してなんでそんな下ネタが言えんだよ…逆に凄いわ。



「んん?だったらお前らって全然ビッチじゃねえじゃん」



彼氏とも本番はやらないんだろ?今聞いた話じゃ、簡単に身体を許してるってわけでもなさそうだし。



「さっき必要性があれば誰彼構わず股を開くって言ってたけど、それは実際にやったのか?」


「いえ…まだよ」


「今まで、股を開く必要性がなかったの」


「へぇー、そりゃ良かった」



流石に幼馴染がハゲデブなおっさんとヤってる所とか聞きたくないし。



「そこらへんあんたに感謝してるわ」


「うん!程人君のおかげだし!」


「へ?なんで?」



いきなりの感謝の言葉に面を食らう。



「あんたの残してくれた研究のおかげで股を開く必要性がなくなったの」


「手っ取り早くお金や権力とかを得るためには上の人と肉体関係を結んだり、それで弱みとか握ったりするのが一番だったんだ」


「でも、あんたの研究を発表したらソレが一気に手に入った」


「だから上の人に股を開く必要性は無くなった…程人君のおかげだよ!」



…突然そんな事を言われてもなぁ。



「もしソレを見越して研究を残したんだとしたら…多分私たちはあんたに一生敵わないし、一生頭が上がらないと思うの」


「…ありえない、買いかぶり過ぎだって」


「それがそうとも言えないんだよ」



マキナが俺の腕にまた絡みついてくる。



「あんた…程人は私たちの考えや性格をかなり良く知っている」


「だから将来私たちが上にのし上がるために上の人と容易に肉体関係を結ぶ…という事に思い至った」


「それは…流石に」


「いいから聞きなさい、思い至ったそれが意識的か無意識なのかは分からない」



リザリーは俺の口の人差し指を当てて黙らせた。



「私たち…ショコラも合わせてだけど、ずっと考えてたの」


「程人がなぜあんな急に狂ったように人体実験や研究を始めたのかを」


「養成学校時代からずっと納得できなかった…全然腑に落ちなかった」


「だけど、私たちのために残そうとしてやってたんなら全てに理由が付く」


「全部納得できるし、ストンと簡単に腑に落ちる」



まだリザリーは俺の口から人差し指を離さない。



…まだ黙って聞いておけ、という事か。

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