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「え、エルー!ヘルプ!」
とりあえず声に出して助けを求める。
「すまん…俺には無理だ…」
「役立たず!!」
「…答えてよぉ…」
「どうなの…?ねぇ…」
更に身体全体で絡みつくようにして俺の耳に吐息を吹きかけた。
「ひぃ…!」
ゾクゾクッ!と背筋に何かぞわぞわしたものが走る。
キャバ嬢に弄ばれる童貞ってこんな感じなのか!?
色気やらフェロモンがすっげー出てるように思えるんだけど!!
「答えなさいよぉ…」
「焦らしちゃやだぁ…」
「に、似合ってる!!二人共ものすごく似合ってる!だから離れろ!な?このままじゃ俺の性欲が暴走しかねん!」
理性が!俺の強靭な理性がそろそろ虫の息だ!コレはヤバいぞ!
「エルー!頼む、助けて!そろそろ押し倒しそうなんだ!」
「…あともう少し待ってくれ…」
「くっそ役に立たねえー!!」
ティッシュを鼻に入れてエルーは申し訳なさそうに俺を見た。
「お、お前らどうした?ビッチデビューか?」
「なにそれ?」
「するわけないじゃない」
二人は案外すんなりと俺の腕から離れて解放してくれる。
…まだ両側を挟まれてるけどさ。
「両手に薔薇ってこんな感じなのか…」
「バラ?」
「いやなんでもない…それよりその格好はマジでどうした?」
ようやくいつもの雰囲気に戻ったため、ソファに体重を預けて質問する。
「え?二人がこういうの好きそうだったから」
「同じく、と言うかエルーが着ろって言ったからよ」
「…まさか本当に着るとは思わなかったんだよ」
しかも目の前で着替え始めるとは…と呟いて鼻に詰めてるティッシュを抜いた。
「お前ら…貞操観念が無いのはいいが、ビッチにはならないでくれよ」
「?なるわけないじゃん」
「まあさすがに誰彼構わず股を開くわけじゃないか」
「…必要性があれば誰でもどんな奴にも股を開くわ、必要性がなければ当然開かないけど」
俺の安堵した呟きにリザリーはちょっと躊躇った感じで返す。
「…マジで?」
「当たり前じゃない」
「若い内は身体も武器だもんね~、使える物はなんでも使わないと」
誰にでも自分の身体を差し出せる覚悟ってのは容易にできるもんじゃないぞ。
ある意味死ぬ決意よりも、誰彼構わず股を開く決意の方が…重いかもしれない。
そこらへん女の人は凄いと思う…主に風俗嬢とか。
あんなん絶対に尊敬するって!
だって客が誰であれ相手をするんだぜ?
ハゲでデブなおっさんでも濡らさないといけないし、舐めたり咥えなきゃいけない。
凄くね?めっちゃ凄くね?もう俺、それだけで尊敬できるわ。
だって逆に男の立場で考えてみたら分かりやすいよ。
パンチパーマでデブのおばさん相手に反応するか?
舐めれるか?硬くなるか?最後までできるか!?
無理だろ!?いくら客の技術が凄かったとしても、おばさんだぜ?
そっち専門じゃない限り無理だって。
デブ専の男に細い女の子が客として来たらどうだ?
熟女好きに若い女の子が客としてきたらどうだ?
反応するか?気持ちよくさせられるか?最後まで相手を精神的にも満足させられるか!?
無理だろ!!男には所詮無理なんだよ!
それを風俗嬢の方たちはやってるんだぜ?
改めて言うけど風俗嬢って凄くね?
相手がどんな男であっても、笑顔で優しく接し…更に気持ち良く満足させてくれるんだよ?
それを男に置き換えたら……ぐすっ。
俺はどんな女でもニコニコ笑顔で、優しく接して、気持ちよくさせて、満足させるようにヤれる自信なんて微塵もねえよ。
皆無やわ…マジで尊敬する、バカになんて絶対に出来ない。
「ど、どうしたの?」
「風俗嬢の凄さにちょっと…」
「あれ?前もこんな事なかったっけ?」
あ、そういえば似たような事を思った時があったような…………ま、いっか。
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