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「俺は残るぞ…何体だろうが来やがれってんだ!」


「バカ野郎!てめぇ、足枷になるって聞いてなかったのか!」


「そうだ、お前の些細なミスでこの人達が死ぬかも知れないんだぞ?」


「そんなの…やってみなきゃ分からないだろ!」



生徒たちは仲間内でワーワー言い争っている。



「お前だけの話じゃねえんだよ!他所様の迷惑になる、って言ってんだ!」


「残ってもいい、って言ってたじゃねえか!」


「…ってゆーかそもそもあんたがあんなに近づかなかったら、私の方向に飛んで来なかったらアレ…倒せてたよね?」


「そうだよねー、誰かさんの所為でこんな事態になったのに…もしかして全然反省してない?」



ギクッ!っと騒いでいた少年の肩が跳ねて静かになった。



「はぁ…早く行け、猶予はあと3分しかないぞ」


「ご忠告ありがとうございます」


「すみませんが私共は撤退させていただきます」


「おう、遭遇しないように避けながら戻れよ」



女の子二人はペコリと礼儀正しくお辞儀し、他のメンバーは未だに騒いでるやつの両肩を掴んで強制連行していく。



さて…ショコラに知らせに行くか。



「おーいショコラー、悲報だぞーって危な」



ショコラに知らせるために突然変異体に近づくと俺にまで攻撃してきた。



余裕で避けれるけどさ。



「なにー?今超楽しいんだけどー」



敵の攻撃を舞うように避けながら、ココア(剣)で舞うように斬りつける。



敵がさっきのような紛い物より強いからか、本当に楽しそうだ。



表情や動きが活き活きしてる。



「残念な事にあと6体、さっき見た突然変異体達がこっちに来る」


「へ?なんで?あの人達は?」


「さあ?やられる可能性は低いだろうから…逃がしたんじゃないか?」


「んー、流石にいっぱい来られたら難儀だなー」



デカイ敵と戦いながらも喋る余裕はあるようだ。



しかも…このレベルの突然変異体が集まっても無理とかヤバいとかじゃなく、難儀って言ってるあたり凄くない?



おそらく突然変異体が、卒業生達と戦って満身創痍の状態だと思ってるからこその発言だとは思うけど。



「面倒だからそいつ、俺が倒してもいいか?」


「えー?……だめぇ」



やっぱりな、人の敵は奪るくせに自分の敵を奪られたくない…か。



わがまま娘め。



「じゃあ俺は集まって来るやつらを片付けるとしますか」



ポーチから星砂を入れてるような小瓶を取り出して蓋を開ける。



「あー、それってあのスライム?」


「そうだ、コレが一応オリジナルだな」



魔王城と魔大陸に存在する百数十体のスライムは分身みたいなもんかな?



まあ全てが本体ではあるんだけどもあっちのはコピー体っつー表現にちかい。



俺が小瓶に入ってる液体を地面にこぼすとプルン!と小さな固形になった。



そのまま俺の周りを転がりながら雪をどんどん取り込んで大きくなる。



「んー…とりあえずここら辺の雪は全部取り込もうか」



プチプチと分裂して周りをスライムが埋め尽くしていく。



あ、ショコラの所には行かせてないよ?



邪魔になったら困るし。



10分もすれば辺りの雪はほとんど無くなった。



「んじゃ、戻ろうか」



ある一箇所にスライムの群れがふにょふにょ転がって合体して一つになる。



おっと…雑菌は地面に埋めないとな。



そこらの木の枝を折って適当に地面を掘ってると、他の突然変異体がまるでコンタクトでも取ってたかのように一気に全部来た。



「ショコラー!奴らのお出ましだぞー!」



俺はスライム中の雑菌をほぼ全て含ませた水球を地面に埋めながら呼びかける。



「分かってる!けど、中々しぶといんだよ!」



珍しくちょっと焦ったような返事だった。



「しょうがないな…高速分裂、遮断壁展開」



隣にいたスライムが素早く二つに分裂してその片方が大量に分裂する。



そしてショコラと突然変異体の周りを30m程の高い水の壁になって囲む。



…これでショコラの所に乱入はできまいて。



あの防御壁はただの壁じゃない、硬い上に高反発するリフレクトウォールだ。

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